なぜか「通貨スワップ」の記事がよく出る韓国メディア『中央日報(日本語版)』に……また出ました。
『東国大学』のカン・サムモ経済学科教授が、ウォンが低評価されているので「通貨スワップ」が必要と述べています。
言い草が面白く、米韓通貨スワップが無理なら「日本やスイスなど国際市場で通用する貨幣を持つ他国とのスワップでも拡大すべきだ」と述べたとのこと。
『大韓商工会議所』で開催された「国民経済諮問会議・韓国金融学会」共同主催の政策フォーラムでの発言です。
以下に記事の一部を引用します。
(前略)
カン教授は、外貨準備高の拡大のように費用が発生することもなく為替市場の安全弁の役割をするのが通貨スワップだ、と主張した。カン教授は「最近の国際金融市場の不安定は急激な米国の利上げによってもたらされただけに米国の責任があり、わが国の為替および金融市場の不安定からわが国が他の国々と米国債の売りに参加すれば、米国の国債市場も不安定化する可能性も存在する」とし「韓米通貨スワップ締結のためには経済だけでなく韓米同盟などの政治外交的な接近が必要だ」と話した。
また「韓米通貨スワップ締結が難しければ、韓国が貿易赤字を出している日本のような国との通貨スワップを通じて迂回的に為替レート安定効果を出すことができる」という主張も付け加えた。
(後略)⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「『米国の急激な緊縮で韓国ウォン低評価…韓米・韓日通貨スワップ拡大すべき』=韓国経済学教授」
ドル強によるウォン安なので、「アメリカ合衆国はウォン安に責任がある」とし、韓国が他の国々と一緒に米国債を売ったら合衆国は困るはず」などと述べています。
先にもあった「合衆国公債を売られたくなければ、米韓通貨スワップを結べ」という主張です。
またぞろですが、全く愚かな主張です。
まず「売られたくなければ」も何も、韓国は自分で合衆国公債を売りまくっています。
先にご紹介した「韓国の合衆国公債の保有残高の推移」を以下に貼ってみます。
09月には合衆国公債を127億ドルも売ったのです。で、入手したドルをどうしたかというと、『韓国銀行』が告白しているとおり、「ドル売りウォン買い」でウォン安阻止に使ったと考えられます。
また、韓国がどこの国と合衆国公債売りに参加するつもりなのか知りませんが、09月に中国は382億ドル、つまり韓国の3倍強も売っています。
以下に中国の推移も再度貼ってみます。
誰と一緒に合衆国公債を売るのが分かりませんが、上掲のとおり、中国と韓国は仲良く巨額売却をすでに行っているのです。
ドルが要るため、と推測できます。
また、「韓米同盟などの政治外交的な接近が必要だ」とも述べていますが、これまで散々バイデン大統領本人、イエレン財務長官に「通貨スワップ」をねだって何の効果もなかったのを忘れたのでしょうか。
さらに、「韓国が貿易赤字を出している日本のような国との通貨スワップを通じて……」の部分です。
何を言っているのかよく分かりませんが、「通貨スワップ」を締結し、例えば日本から外貨が入ってくれば日本との貿易赤字が埋められるとでもいうのでしょうか。
韓国のいう「通貨スワップ」は主に合衆国が提供するドル流動性スワップのことです。スワップバックで利子を付けて外貨を返済しなければなりません。
なぜ、「通貨スワップ」で貿易赤字を埋めることができるのでしょうか。
また何より、なぜ「日本が韓国と通貨スワップを締結する」と考えているのでしょうか。
(筆者などは全然そうは思いませんが)戦後最悪の日韓関係といわれており、日本が「韓国は約束を守らない国」と考えているというのに、「日本と通貨スワップが締結するべき」などという愚かな意見が提示できるというのは、とても正気とは思えません。
「何か違う現実が見える異次元」にでも住んでいらっしゃるのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)