2023年02月02日、例によって韓国の企画財政部は、『FOMC』(Federal Open Market Committeeの略:連邦公開市場委員会)の結論を待って「緊急マクロ経済会議」を開催しました。
『FOMC』は政策金利を「0.25%」上げました。
韓国:3.50%
これによって上限での金利差は再び1.25%に開きました。合衆国が0.25%上昇するのは予想どおりの結果でしたので、今回の「緊急マクロ経済会議」では特にドタバタはしませんでした。
今回、企画財政部が出したプレスリリースの中に登場する、「秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相兼企画財政部長官の発言」の注目ポイントについて以下に和訳してみます。
↑Googleの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください。(前略)
社債とCPのスプレッドが縮小傾向にあるが、市場が安定するようベストを尽くします。40兆ウォン以上を確保した対応余力を活用して市場安定の勢いを増すようにします。(中略)
不動産部門のリスク管理について万全を期します。
PFに関連した事業所について、保証サポートなどに注力し、PF市場を安定化させる一方、建設会社の流動性サポートと不動産ローン規制の正規化などを行うことで、不動産市場を連着陸させるよう積極的に誘導します。
(中略)
高金利をフォローするべく、金融負担の緩和に努力を継続します。今年10兆ウォン規模の政策で庶民金融を供給する一方、緊急生活費、ローンなど脆弱な階層のカスタマイズした金融支援を支障なく実行するようにします。
(後略)⇒参照・引用元:『韓国 企画財政部』公式サイト「緊急マクロ経済会議の開催」
『韓国レゴランド』『興国生命』の件で急騰した資金調達市場の金利も一応は落ち着いた感がありますが、それでも資金調達の困難に直面している企業は多いと見られ、一応政府は「40兆ウォン」の対応余力がある――としています。
政府は胸を張っていますが、いざというとき出すのは金融機関です。
また、特にPF(プロジェクトファイナンス)絡みで不動産セクターが懸念されていますが、積極的に支援して「軟着陸させる」よう誘導するとしています。
つまり、政府当局が危ないと見ていることに他なりません。
さらに10兆ウォン規模の脆弱層向けの金融支援を用意している、とも。こちらも金融機関が出します。金融機関に不調債権がたまるばかりなんじゃないのか、という気がしないでもありませんが、ぶっ飛びの連鎖が起こると困るので、行わないと仕方がありません。
面白いのは、金利上昇とインフレ率の推移です。
合衆国ではインフレ率が低下してきたので政策金利を上げた効果が出たと判断し、今回は0.25%の上昇にとどめました。では、韓国のインフレ率は落ち着いてきているのか?です。
実は、2023年01月の韓国のインフレ率は「5.2%」で、「2022年11月:5.0%」「2022年12月:5.0%」と抑え込んだはずなのに小幅ですが上昇しているのです。
もちろん、2022年には一時6.0%超えまでいきましたから、それと比べればマシです。しかしながら、韓国にとってはいまだ尋常ではないインフレであることに変わりはありません。
合衆国の方は「あと1回、0.25%の利上げを行ってインフレに歯止めがかかったかを見定めるのではないか」という観測が出ていますが、韓国はそれで済むかどうかです。
インフレ率のデータは遅行性がありますので、後にならないと効果が判別できないわけですが、利上げが効いているのかどうか見極めが必要です。
総じていえば、政府が支援するので(流動性を供給する)、それでパッチワークのように穴を塞いでいこう――という表明です。韓国の金融当局はいまだ薄氷を踏む思いでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)