アンカーが「血税ちゅーちゅー」というあまり上品ではないタイトルを付けましたが、タイトルにふさわしいかもしれない下卑た事件です。
韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が、市民団体へ流れた補助金の一部が不正に使用されていたとして怒り心頭です。
法的な処分行うとしていますし、加えて「誰がハンコ押したんだ、この企画」と、政府機関側でずさんな審査をした公務員をも取り締まれるシステムを作る――と宣言しました。
尹大統領が怒るのも無理はないのです。
監査院が、文在寅前政権で行われたクリーンエネルギー政策に絡んだ監査を行ったところ――太陽光・風力発電などの再生可能エネルギー事業と密接に関連した公共機関所属の役職員250人余りが、内部規定を破って個人的に太陽光発電事業を行っていたことが分かったのです。
Money1でもかつてご紹介したことがありますが、『韓国土地住宅公社』(略称「LH」)では、「新規開発されそうだ」という情報を入手した職員が先んじて土地購入に走りました。後で発覚して国民の怒りを買ったのですが、疑惑の捜査対象が約10万人にも及ぶという大事に達しました。
公的機関の職員が率先して投機(お金もうけ)に走るという、実に韓国らしいとしか言いようがない事案ですが、上掲のとおり、今に始まったことではないのです。これは、いわば伝統芸です。
監査院の「再生可能エネルギー事業推進実態」監査によって、『韓国電力公社』など8つの公共機関に所属する役職員250人余りが摘発されました。
これらの機関は、役職員が太陽光事業に参加してはならないという内部規定を持ち、外部事業を兼職するには許可を受けなければならないという内部規定がありました。
あったにもかかわらず、250人余りの恥知らずは、内部規定を破り、所属機関に知らせないまま、本人名義や他人の名前で太陽光発電事業に走ったのです。
これまた先にご紹介したことがありますが、文在寅政権では、個人が小規模でも太陽光発電施設を設置すると、そこから出る電力を『韓国水力原子力』など『韓国電力』傘下の発電事業者が固定価格で買い取ってくれる制度を導入しました。
これを「韓国型FIT(発電差額支援制度)」といいます。2018年から施行しました。
この制度は補助金じゃぶじゃぶな上で成立しており、「再生可能エネルギーを利用して電気を生産する事業者の電気を優先的に購入する」という電気事業法31条があって、『韓国電力』は太陽光発電事業者から原発で生産する電気の4倍以上の価格で電気を買い取っているのです。これも、ずいぶん前にMoney1でご紹介したとおりです。
文在寅政権の施策が根本から間違っていたため、『韓国電力』の財務状況が急速に傾き、あまり上品な言い方ではありませんが「血税ちゅーちゅー」な輩の跳梁跋扈を許したのです。
すごい輩もいるもので、今回摘発された中には、法人を2つ設立し、これらを通じて4,000㎾規模の太陽光発電を行い、電気を販売したケースもあった、とのこと。
小規模発電事業者として支援を受けることができる限度は100㎾でしたので、40倍規模の事業を行っていたことになります。
細かい事例を挙げればキリがありませんが、自分の立場を利用(悪用)して、公的機関の内規、何より倫理に背き、事実上の補助金をもらって私服を肥やした人間がこれほどいたのです。
前記のとおり、韓国らしいといえば「それまで」ですが、恥を知らない人間がこれほど多いというのはやりきれない気持ちにならないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)