中国の6大国有銀行というと以下になりますが、各行の業績は悪化しており、この面でも中国は苦境です。
『中国建設銀行』
『中国工商銀行』
『中国農業銀行』
『中国郵政儲蓄銀行』
『交通銀行』
『中国銀行』
2024年05月31日、中国の国家金融監督管理総局は、2024年第1四半期の銀行・保険業の主な指標の数値を公表しました。この中に「純金利マージン」のデータがあり、ここから苦境と判断できます。
純金利マージン(Net Interest Margin:「NIM」と略されます)とは、「受取利息と支払利子の差額を平均収益資産で除したもの」と定義されます。銀行というのは、預金に利子をつけてお金を集め、それを貸し出して利子を得てもうける商売です。
貸し出し金利と預金者に支払う利息の差が大きければ大きいほどもうかりますね。純金利マージンというのは、金利差を利用した商売の儲かり具合を示す数値。簡単にいえば「その銀行の収益性」を示すものです。
純金利マージンが大きいほど収益性が高いと判断されます。
中国6大国有銀行の純金利マージンがどのくらいなのかというと――以下をご覧ください。ちなみに「Warning Line」(その銀行の収益性に警告灯がつくライン)が「1.8%」として――見てください。
中国6大国有銀行の純金利マージン
『中国建設銀行』:1.57%
『中国工商銀行』:1.48%
『中国農業銀行』:1.44%
『中国郵政儲蓄銀行』:1.92%
『交通銀行』:1.27%
『中国銀行』:1.44%
警告線を超えているのは「郵政儲蓄銀行」だけです。ひどいのは『交通銀行』で「1.27%」しかありません。
『The Financial Truth』は、遠からず『交通銀行』の純金利マージンは1%を割ることになるだろう――と指摘しています。また、このままいくと6大銀行が2025年末までに全て赤字に転落する可能性もある――という観測も出ています(実際になるかどうかは分かりません:中国当局もばかではないので)。
問題は、経済が傾いており「お金をまけ」というのが当局の指導で、基本、貸し出し金利を上げられないことです。実際、不動産市場を回復しなければいけませんから、住宅金利ローンを下げています。しかし、それでも人は借りません。
中国経済の先行きが信用できず、不動産買っときゃ安心、などという時代が過ぎ去ったことをみんな知っているからです。
2024年04月には、『中国銀行』の張毅副行長が、02月の決算会見の場において「今年も純金利マージンが相当な圧力に見舞われる」と見通しを述べてました。
全くそのとおりな状況で、要は国有銀行が利益を出せなくなっており、赤字になるかもよ――なのです。
(吉田ハンチング@dcp)