南朝鮮「ウォン安」の防衛線は、なぜ「1,200ウォン」なのか 「KIKOの呪い」では?

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Money1では「1ドル=1,200ウォン」のラインを防衛線と呼称し、ここまでウォン安(チャートで上昇)が進むと韓国通貨当局も座視してはいないとご紹介してきました。実際、韓国メディアでも為替介入についての記事が出たことがあります(2019年10月)。

この記事の中に、「ある民間専門家」の「5月に外為当局は1ドル=1200ウォン水準を超えることに大きな負担を感じ積極的に介入した(後略)」という発言があります。

引用内の強調文字は筆者による:以下同

⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「1200ウォン崩壊防げ…韓国外為当局、上半期に38億ドル放出」
https://japanese.joins.com/JArticle/258123?sectcode=310&servcode=300

「1ドル=1,200ウォン」が重要な指標となっていることが分かりますが、この「1,200ウォン」は恐らく、2008-2009年の韓国通貨危機の際に「KIKO」(Knock In Knock Out optionの略:ノック-イン・ノック-アウト オプション)でひどい目に遭った経験から来ているものと推測されます。

KIKOは金融派生商品の一種でバリア・オプションと呼ばれ、簡単にいうと資産を保全するために使うものですが、投機性が高いのが特徴です(説明が長くなるのでこれは別記事にいたします)。

韓国は輸出産業で食べている国なので各企業は為替リスクをヘッジするための手段が必要ですが、当時企業の多くは、先物為替予約の代わりにKIKOを使ったのです(これには韓国通貨「ウォン」がマイナーな通貨であるため先進国のような先物為替予約ができなかったという事情もあるとのこと)。

ところが、韓国企業が契約したKIKOは、条件(契約の中身)によってハイレバレッジが効いて大損害を出すようなものだったのです。

同じく『中央日報』の10月の記事を引いてみましょう。

為替ヘッジ派生商品であるKIKOは、企業と銀行の間で約束された約定相場(契約の94%が1ドル=1000ウォン未満)を超えると、該当企業が契約金の2~3倍のドルで返さなければならない。このため該当企業はドルを買わねばならず、これがドル高の進行をあおっているということだ。

金融委員会によると、8月末現在でKIKOの契約残高は79億ドルだ。中小企業中央会は、調査対象となったKIKO契約企業の88%が、約定相場を超えると既存の契約金額の2倍以上をドルで返済しなくてはならない‘レバレッジKIKO’の契約社だと明らかにした。

ウォン安ドル高が進むたびに、精算に必要なドルが雪だるま式に膨らんでいくのだ。最近のドル急騰によりKIKO契約企業の追加損失は5兆ウォン(約3570億円)に達するとの推定も出ている。

⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「KIKOがドル急騰の悪循環を招いた」
https://s.japanese.joins.com/JArticle/105807?sectcode=340&servcode=300

ある程度のお金を支払って為替リスクを避ける(想定範囲内に為替差損を抑える)べきところを、投機、いやもっといえば博打(ばくち)に走ったわけです。

その知恵のなさは巨大な罰となって韓国を襲います。この博打が通貨安に拍車をかけるという結果となりました。

なぜなら、ただでさえドル不足になっているのに、KIKOのせいでドルを調達して返済に充てなければならない企業が続出。当然ウォンをドルに換えますから、さらにドル不足・ウォン安が進行し、それによってドボンの企業がまた増える――という悪夢のようなスパイラルに陥ったわけです。

2008-2009年の通貨危機時に韓国の企業はKIKOによって大損害を出しました。どのくらいの損害だったかというと、通貨危機を過ぎた2013年01月に『中央日報』は以下のように報じています。

「KIKO事態とは、08年の世界金融危機で韓国ウォンが急落し、為替レート派生商品のKIKOに加入した国内約770社が2兆2000億ウォンの損失を出したことをいう」

⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「KIKOの呪い…円安で追い込まれた韓国の中小企業」
https://japanese.joins.com/JArticle/167246

2兆2,000億ウォンですからざっくり1/10で円に換算しても2,200億円。途方もない損失です。

また、通貨危機当時『中央日報』に「1ドル=1200ウォンで中小企業の7割が不渡り」という記事が出ました。

ウォン・ドル相場が1ドル=1200ウォンまで上がると、統合オプション商品のKIKO(ノックイン・ノックアウト)を購入した中小企業の7割が不渡りを出す危険にさらされるという中小企業中央会の調査結果が出た。

⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「1ドル=1200ウォンで中小企業の7割が不渡り」
https://japanese.joins.com/JArticle/105240

つまるところ「1ドル=1,200ウォン」というラインは、2008年の韓国通貨危機で企業の7割に不渡りを出させ、国内770社に2兆2000億ウォンの損失を被らせたKIKOの影響から、「ここを超えさせてはならない」と韓国通貨当局に意識されているのではないでしょうか(ただし本当に韓国通貨当局が為替介入を行っているのかは不明です)。

2008-2009年の韓国通貨危機時には最大「1ドル=1,598.65ウォン」までウォン安が進んだわけですが。

ある古書店の店長にいわせると「呪いはいうなれば脳に仕掛ける時限爆弾」だそうです。

ロマンチックな言い方をすれば、通貨危機を通じて「1,200ウォン」というレートが脳に仕掛けられたのかもしれません。だとすれば、『中央日報』の記事のタイトルではありませんが、これこそ「KIKOの呪い」ではないでしょうか。

(柏ケミカル@dcp)

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