中国政府は、傑作なことに「中国経済は概ね順調に回復してる」と主張しています。
例えば、『理响中国』は以下のように書いています。
(前略)
上半期には、中国の国内総生産が前年比5.0%増加し、雇用状況は全体的に安定し、物価水準は低位で回復し、貨物の輸出入規模は歴史的な最高値を記録した。中国の変革・アップグレードは安定した進展を見せ、新しい発明、新技術、新しい装備が重要な推進力となっている。
また、夏の収穫も豊作で、エネルギー安全保障能力と産業チェーン、サプライチェーンのレジリエンス(resilience)※も向上している。
この成果は「上半期」のマクロ政策が経済の量と質の向上を促進した集中した表れであり、今年の経済発展の「後半」の底力と基盤でもある。
(後略)
※レジリエンス(resilience)は「復元力」「回復力」「弾力」などの意味です。
中国経済復元の証拠としてGDP成長率が予定どおり5.0%に収斂する……というのですが、もはや中国政府が公表するGDP成長率などアテにはならず、世界中が「ウソをつくのもいい加減にしろ」とツッコミたいでしょう。
あれだけ水害・干ばつ・高温に悩まされているにもかかわらず、「夏の収穫も豊作」と述べている点に至っては「おまえの中では豊作なのか」と、その想像力の豊かさに驚かされます。
あたかも中国経済は順風みたいに装っていますが、この前段には以下のように書いているのです。
中国共産党第二十期中央委員会第三回全体会議は、年間の経済社会発展目標を揺るぎない決意で達成することを強調した。
07月30日、習近平総書記は中央政治局会議を主宰し、現在の経済情勢を分析・研究し、下半期の経済活動を計画し、中国式の現代化を推進しつつ全面的に改革を深化させることを強調した。
私たちは会議の精神を深く学び、実際に貫徹していく必要がある。
今年に入ってから、習近平同志を核心とする党中央の強力な指導の下、各地域や各部門は困難に立ち向かい、積極的に行動し、改革開放を深化させ、マクロコントロールを強化し、リスクや挑戦に効果的に対応し、経済は全体的に安定し、前進している。
(後略)⇒参照・引用元:『中国日報』「坚定不移完成全年经济社会发展目标任务」
習近平指導の下、「各地域や各部門は困難に立ち向かい」と書いてます。「語るに落ちた」というのはこういうことで、なんのことはない、困難に直面したと告白しています。
さらに面白いのは、末尾の文章です。以下をご覧ください。
(前略)
「言うのは易しいが、行うのは難しい」といわれるように、年間の経済社会発展目標の達成には行動が大切だ。形式主義や官僚主義を断固として是正し、党員や幹部が正しい政績観(政治における成果のこと:引用者注)を持つように導き、責任感を持って行動することを奨励し、中国の発展の潜在力を早く成長の勢いに変え、中国式の現代化を着実に推進し、大きな前進を遂げ、安定して遠くまで進むことを目指さなければならない。
⇒参照・引用元:『中国日報』「坚定不移完成全年经济社会发展目标任务」
形式主義や官僚主義の権化が中国共産党なのに、それを――是正しよう――などと述べています。こういうのを自己批判というのでしょうか。
「党員や幹部が正しい政績観を持つように導く」というのは、「各省、地方自治体が大嘘のGDP成長率の数字を出すのをやめさせる」という意味なのでしょうか。
中国共産党はウソばかりついているうちに、二進も三進もいかなくなっているのです。もう「自分でも何を言っているのか分からない」のかもしれません。
(吉田ハンチング@dcp)