負債まみれ『韓国電力』は2025年03月に原発関連で1.2兆返済しなければならない。

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韓国の監査シーズンは、ウォッチャーからすればワクワクが止まりません。国会議員が「いい資料」を入手してウラに隠れていた件について政府機関を詰問するからです。

韓国は、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の陣頭指揮の下、原発輸出に躍起になっています。


↑2024年03月01日、最後の4号機がやっと初臨界となったUAEのバラカ原発。2009年に受注して実に15年かかりました。

もし成功すれば、李明博(イ・ミョンバク)政権時に成し遂げた、韓国原発輸出第1号の「UAEバラカ原発」に続く成果となるからです

韓国の威信も高まり「韓国の技術力は世界イチ!」と鼻も伸びようというものです。

2022年08月26日、韓国の産業通商資源部が「エジプトの原発プロジェクトを受注した」というプレスリリースを出しました。しかし、これは韓国の原発輸出ではありません。エジプトから原発造成を受注したのはロシアで、韓国企業は「タービン」などの製造を請け負った下請けとしての参加です。詳細は以下の先記事を参照してください。

https://money1.jp/wp-admin/post.php?post=87748&action=edit

ところが、いまだに確実に受注できた案件はありません。

Money1でもご紹介してきたとおり、「いける」と思い込んでいたポーランドの新規原発案件はアメリカ合衆国『ウエスティングハウス』にかっさらわれて撃沈。

チェコの原発は「今度こそ取った!」だったのですが、暗雲が垂れ込め始めています。同じく『ウエスティングハウス』が「知的財産権はウチのものだ。韓国の原発はそれを勝手に使用している」と主張し、どうなるか分からなくなってきました。

剽窃ばかりして、基礎技術がないのでこういうことになるのです。

今それを言う?「UAEバラカ原発の債務償還が来る」のにお金がない!

さらに2024年10月24日、原発受注について厳しい情報が出てきました。韓国メディア『NEWSIS』の記事から一部を以下に引用します。

チョン・ジヌク『共に民主党』議員が『韓国電力公社』(以下『韓国電力』と表記)から受け取った回答書によると、『韓国電力』はUAEの原発への出資金など、来年の資金需要に関して現在内部で検討・協議中であることが明らかになった。

『韓国電力』は2009年、約20兆ウォン規模のUAEバラカ原発建設プロジェクトを受注している。

このプロジェクトでは、『韓国電力』が『UAE原子力公社』(ENEC)と合弁で設立した事業法人『Barakah One Company』に18%の出資を行うため、金融機関から融資を受けた。

『韓国輸出入銀行』からの6億9,000万ドル(約9,539億ウォン)の融資を含め、現地の金融機関などから総額9億1,000万ドル(約1兆2,558億ウォン)の借り入れを行っており、その返済期限が来年03月に迫っている。

『韓国電力』の関係者は「資金が必要な時期には、電力販売収益や手元の現金を考慮し、不足が生じた場合は金融市場から必要な資金を調達する」と述べた。
(後略)

⇒参照・引用元:『NEWSIS』「[단독]한전, 3월 UAE 바라카 1.2조 ‘대출 청구서’ 날아온다…자금조달 ‘막막’」

今になってそんな話なのか――なのですが、当時、国策銀行である『輸出入銀行』やUAEの現地銀行などから借り入れた計「約1兆2,558億ウォン」の償還が2025年03月に迫っているというのです。

これまでMoney1でもご紹介してきたとおり、『韓国電力』にはお金がありません。

文在寅政権のおかげで、巨額の赤字経営に陥り、またキャッシュフローを回すために社債をじゃぶじゃぶ発行して資金調達を行ったため、負債が約203兆ウォンも積み上がっています(2024年第2四半期時点)。

約1兆2,558億ウォンあるのか?というとありません。『輸出入銀行』に借りた分は国内ですらから、なんとかなるにしても、外国銀行に外貨建てで借りた分は返済しないと国際的デフォルト認定です。

現実的には借り換える(ロールオーバー)しか道はないのではないでしょうか。『韓国電力』がまたじゃぶじゃぶ社債を発行しだすと、他の企業の社債発行に甚大な影響を与えますので。

チェコ原発に関わる「金融支援問題」

もう一つ。この記事には重要な情報があります。以下です。

(前略)
財政難が悪化する中、借金で推進してきた受注事業がさらなる負担となっている。

現時点では、短期的に韓電が資金を調達する手段は電気料金以外に乏しい。韓電は不動産などの資産売却を進めているが、短期間で資金確保に繋がる見込みは低い。

韓国政府はこれまでも、原発や防衛産業など巨額の資金が必要な海外受注に対して金融支援を行ってきた。

現在進行中のチェコのドゥコバニ原発プロジェクトでも、輸出入銀行を通じた金融支援の可能性が取り沙汰されている。

『韓国輸出入銀行』(輸銀)は、『貿易保険公社』と共に

「チェコの発注者が金融支援を希望する場合、支援を検討する」という内容の関心書(S/L)を発行している。

こうした動きは、海外原発建設などの受注が国民負担に繋がる可能性があるとの懸念を呼んでいる。
(後略)

⇒参照・引用元:『NEWSIS』「[단독]한전, 3월 UAE 바라카 1.2조 ‘대출 청구서’ 날아온다…자금조달 ‘막막’」

ご注目いただきたいのは、「関心書(S/L)」について述べた部分です。

「関心書(S/L)」とは、英語の “Statement of Interest” や “Letter of Support” の略で、金融支援の意向を示す非公式な文書を指します。

具体的には、あるプロジェクトに対して、関係機関(例えば銀行や政府機関)が将来的に融資や支援を検討する意思があることを示すものです。

韓国政府は、チェコ原発を受注するために国策銀行『輸出入銀行』に「S/L」を出させています。

これは、もしチェコ政府がこのプロジェクトで資金難に陥るなどすれば、『輸出入銀行』が出しますよ――という非公式な約束に他なりません。

2024年10月21日、この点を監査で突かれた『輸出入銀行』は、「チェコから金融支援を要請されたことはない。S/Lは輸出信用機関として慣例で発行したもの。法的拘束性はなく、金融支援を意味するものではない」と反論しました。

確かにこの回答自体は間違っていません。S/L自体は非公式なものだからです。

しかし、この先チェコからお金を支援してくれといわれたら、後には引けないのは事実です。

韓国企業はこの仕事でお金を受け取らないといけませんし、チェコが払ってくれないなら、『輸出入銀行』が貸し付けるなどしないと、原発企業が干上がってしまうからです。

――この意味で、記事が指摘する「国民負担に繋がる可能性がある」は間違っていません。

ただし、いざというときの解決策が、『輸出入銀行』がチェコに貸し付けるお金が結局韓国の原発企業に回り、『輸出入銀行』にはチェコ企業から元利返済がきちんと行われるのであれば、OKでは?――とは考えられます。

問題なのは『輸出入銀行』が融資に応じる体力があるのか?という点です。

韓国の国策銀行『輸出入銀行』はそもそもそれほど資金力のある銀行ではありません。下手をすると、銀行の信用を疑われるほど健全性が弱る可能性があります。

そうなると、なにせ国策銀行ですから韓国政府(国)の信用にもかかわることになります。こちらの方が問題は大きくなるでしょう。

いずれにせよ、原発強国なんていってますが、韓国はそもそも金融のレイヤーで脆弱な国です。日本のように潤沢な資金を持つ国ではありません。原発輸出についても無理して行っている――というのが現実なのです。

(吉田ハンチング@dcp)

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