また不明な点が多すぎる事件ですが、分かっている範囲で記事にしておきます。

2026年06月26日17時55分頃、中国製の軽スポーツ機・山河SA60L「阿若拉」登録番号:B-12PPが、中国・北京朝陽区東三環付近、北京最高層ビル「中信大厦(中国尊)」※の高層階に激突しました。

中信大厦(中国尊)は、北京・朝陽区のCBD核心区にある超高層ビルで、英語名では「CITIC Tower」です。高さは528メートルで北京で最も高い建物とされています。地上108階、地下7階で『中信集団』の本社ビルです。

「中国尊」という通称は、建物の形が中国古代の酒器「尊」に似ていることから来ています(上掲写真参照)。外観は下部と上部が広がり、中央部がややくびれた形です。
何があったのか?

↑中信大厦(中国尊)に軽スポーツ機が激突した箇所。
SA60L「阿若拉(Aurora)」は、中国・湖南省の航空機メーカー『山河星航(Starair Aircraft)』が開発・製造している2人乗りの軽スポーツ機(Light Sport Aircraft:LSA)です。

↑激突したのと同型機SA60L「阿若拉(Aurora)」。乗員は2名(並列座席)で単発レシプロエンジン機です。全長:約6.9m/翼幅:約8.6m/最大離陸重量:約600kg/巡航速度:約220km/h/最高速度:約270km/h/航続距離:約1,200km/離陸滑走距離:約180m。
中国で独自開発された軽スポーツ機の代表的な機種の一つで、飛行訓練やレジャー飛行、航空写真撮影などの用途を想定しています。

↑地上には激突した機体の尾翼部分の残骸が残りました。
今回の事件について、一部では「セスナが……」などと報じられていますが、違います。アメリカ合衆国セスナ社製の航空機ではなく、中国企業の機体です。
中国当局が情報を消して言論統制を行っていますが、中国語・簡体字メディアをサルベージしてみると、そもそも報じ方は、かなり抑制されています。
北京市朝陽区政府の公式WeChatアカウント「北京朝陽」は2026年06月27日に掲載した「情况通报」では、
06月26日17时55分,在朝阳区东三环附近,一架单发双座轻型运动航空器在飞行中碰撞一高层建筑,机上仅驾驶员1人、已死亡,现场13人受伤。目前,受伤人员在全力救治中。相关情况正由主管部门进一步调查。
06月26日17時55分ごろ、朝陽区東三環付近で、単発・複座の軽スポーツ航空機1機が飛行中に高層建築物へ衝突した。
機上には操縦者1人だけが乗っており、死亡した。現場では13人が負傷した。負傷者は全力で治療を受けており、関係当局が引き続き調査を進めている。
――となっています。上掲のとおり、ビルの具体的な名称などの情報は含まれていません。ロシアメディア『スプートニク』も報じていますが、上記の「北京朝陽」のWeChatアカウントに掲載された発表をソースとしています。
『Reuters(ロイター)』と「Flightradar24」の情報を総合すれば、北京中心部から約50km離れた地点(後述)から飛行し、17時55分ごろ追跡が途切れた――と整理できます。
『Reuters(ロイター)』が確認したところ、2024年に『東時双悦(北京)通用航空』東時双悦が中国SNSで公開した宣伝動画には、登録番号B-12PPの機体が登場していた――とのこと。
ただし、事故時点で同社が所有・運航していたかは未確認です。
また『Reuters(ロイター)』によれば、同社のSNS上の宣伝動画は事故当日の夜までに削除されました。
面白いのは、「Flightradar24」が『X』で公開した事故機の航跡です。

北京中心部の約50km東方にある石仏寺空港(Shifosi Airport)から離陸。四角く飛んで、南西に方向を変え、なぜか一度旋回した後、北京市中心部方向へ飛行し朝陽区・東三環付近でトラッキング終了。終了時刻は現地時間17時55分頃(09:55 UTC)です。
旋回した後はまっすぐに中信大厦(中国尊)に向かったように見えます。これは事故でしょうか? それとも意図的な突入だったのでしょうか?
中国語・簡体字メディアやSNSでは当局による制限・削除がかっており、情報が見つけにくくなっています。
イギリスメディア『Financial Times(フィナンシャル・タイムズ)』は、原因には踏み込まず、「国家安全保障上の懸念から、事故後ただちに全国で軽飛行機・スカイダイビングなどの活動停止措置が広がった」と報じています。
(吉田ハンチング@dcp)






