04月が終わりに近付き、韓国を襲う「四月危機」もいよいよ加速しています。
まず韓国メディアでも連日『アシアナ航空』の話題が尽きません。04月21日には、Money1でもお伝えしたとおり、韓国の国策銀行である『産業銀行』と『輸出入銀行』が総額「1.7兆ウォン」の支援を行うことを決定しました。
これで『アシアナ航空』も救われたのかといえば、全くそんなことはないのです。
まず、2020年04月21日までの『アシアナ航空』の資金難についておさらいしてみます。
・2019年の段階からすでに経営難である
・2019年に韓国の国策銀行である『産業銀行』と『輸出入銀行』が1兆6,000億ウォンを融資した(そのお金は使ってしまってすでにない)
・韓国の財閥『現代グループ』の『HDC現代産業開発』がコンソーシアムを組んで、『アシアナ航空』を『錦湖産業』から買収することが決まっていた
・そのために、2019年12月には「『アシアナ航空』の株式売買契約と新株引受契約」も交わしていた
ここに新型コロナウイルス騒動です。
人の移動が厳しく制限される事態となり、『アシアナ航空』の経営は急速に傾きます。もう2カ月ももたない、今日飛ぶか、明日飛ぶかのギリギリになって、「しゃーない」とばかりに『産業銀行』と『輸出入銀行』が2020年04月21日「1兆7,000億ウォン」の支援を決定したのです。
――という経緯なのに、なんと『HDC現代産業開発』がこの期に及んで「買収をやめるかも」というのです。
この国策銀行の支援はあくまでも『アシアナ航空』を企業として再生させるためのもの。それは『HDC現代産業開発』の買収が進むことを前提としているはずです。そのために1.7兆ウォンを突っ込む決定をし、2019年の分も入れればこれで両行は計「3.3兆ウォン」を『アシアナ航空』に入れたことになるのです。
『HDC現代産業開発』のものすごい手のひら返しです。
『亜州経済』2020年04月21日の記事から以下に引用します。
HDC現代産業開発側が当初、今月末に予定されていた『アシアナ航空』の有償増資と社債発行などによる買収代金の納入を事実上延期したことが分かった。
(中略)
最悪の場合、HDC現産が2,500億ウォンの契約金を失ったとしても、『アシアナ航空』の買収を諦めることもあり得るという予測も出ている。
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
これでもし本当に『HDC現代産業開発』が手を引いたら、そしてその後どの企業も支援に手を挙げなかったら……『産業銀行』と『輸出入銀行』がお金を突っ込み続けるしかありません。
韓国の国策銀行は底なし沼に足を突っ込んだかもしれません。
(柏ケミカル@dcp)