中国はいまだに共産主義国家であり、企業とはいうもののその活動については政府による規制を受けます。中国では2017年初頭から海外への資金流出をとどめようと必死になっています。ドルに対する元安の進行により、庶民のドルへの両替が進み、またドル建て保険の購入、海外への投資などによってドル資金流出が急激に進行したのです。
この動きは、中国の外貨準備高の激減によっても証明されます。2014年6月時点で451兆円あった外貨準備は2016年末には340兆円まで減少(日本円換算:1ドル = 113円)。2014年6月時点で「1元 = 0.162ドル」だったのが2017年6月時点で「1元 = 0.147ドル」(月間平均レート)。9.3%も下落しています。この元安傾向が両替、海外への投資を推進してきたのです。
ここにきて、中国の国家発展改革委員会(NDRC)と商務部(MOFCOM)は、(中国)国内企業による海外企業の買収計画を執拗に調べ、「戦略的でない」と判断するとその計画を却下するという動きに出ています。具体的には、
・バリュエーション
・事業計画
・買収資金の調達方法
などの資料を提出させ、それを精査するのです。中国企業における海外企業の合併・買収の取引高が2017年上半期には642億ドルだったのですが、これは史上最高水準を記録した2016年と比較すると約6割(58%)までに減っています。2016年には通年で2,210億ドルだったのです(トムソンロイターの統計による)。中国政府が企業買収による資金流出を絞りにかかっていることは明らかです。
(柏ケミカル@dcp)