「一帯一路」「AIIB」(Asian Infrastructure Investment Bankの略:アジアインフラ投資銀行)など、中国は、その資金力を使って親中派の国家をつくり、世界に政治的影響力を強めようとしています。『Newsweek』(2018年07月17日号)に「中国シャープパワーの正体」という特集が組まれました。
「(前略)中国はどうか。その独裁的な政治体制に魅力は乏しいし、リベラルな国際秩序に貢献できるわけでもない。その代わり急速な経済成長で蓄積した資金力にものをいわせて天然資源を確保し、友好的な独裁国家を助け、欧米社会に『親中派』を育てようとしてきた。これがシャープパワー戦略だ」(同誌P.22より引用)
と中国の取る戦略について説明しています。同記事の中に、中国の資金がどんな国に流れているのかを挙げていますので、それをご紹介しましょう。
中国政府の行った、贈与や低利の融資などの「開発援助」、市場金利で融資される「一般援助」がどのように推移してきたのかについて、アメリカの『ウィリアム・アンド・メアリー大学』の「エイドデータ」がまとめています。それによると、中国の海外援助が増えたのは最近のことなのです。
2000-2008年:総額680億ドル(年平均76億ドル)
2009-2014年:総額2,290億ドル(年平均380億ドル)
2009-2014年には、それまでと比較して1年間の援助額は5倍に達しているのです。この5倍になった資金がどの国に流れているのかを見てみると非常に興味深いことが分かります。開発援助が提供された上位10カ国のうち、
・キューバ
・コートジボアール
・エチオピア
・ジンバブエ
・カメルーン
・カンボジア
という6つの国家に資金援助が行われており、この6カ国だけで240億ドルが提供されています。一般援助についても、
・ロシア
・アンゴラ
・ラオス
・トルクメニスタン
・カザフスタン
という5カ国に778億ドル(援助総額の38%)が提供されているのです。中国政府の意図は明らかでしょう。このような指導者が明確な国に資金を投じることによって、その見返りを期待し、中国の影響を強めようとしているのです。
⇒参照:『AIDDATA』
https://www.aiddata.org/
(柏ケミカル@dcp)