コロナ禍によって人の移動が制限され、世界的に航空産業はピンチです。韓国もその例に漏れません。『大韓航空』と『アシアナ航空』は合併し統合会社となりますが、それ以外は全てLCC(格安航空会社)。ほとんどのLCCは経営が危機的状況にあります。
実は2020年からあまり状況は変わっていません。資金が尽きるかもしれないのです。
そのため、韓国LCC各社はコスト削減と資金調達に必死な状況です。
飛行機を減らして有償増資がトレンド
コスト削減では「飛行機の数を減らす」動きが目立ちます。旅客が激減していますので、維持費がかかる飛行機を減らそうというわけです。
例えば、LCC最大手の『済州(チェジュ)航空』は2020年03月は45機運用していましたが、現在は41機しかありません。リースが満期になった飛行機などを返却したためです。同社ではさらに保有機を減らす計画です。
また『ジンエアー』でも28機から23機に減らしています。
資金調達では、とにかく有償増資が進んでいます。有償増資というのは、新規に株式を発行して資本を拡充することです。
株主に新しく発行した株式の引受権を付与する「株主割当増資」、特定の引き受け先に割り当てる「第三者割当増資」、広く一般に株主を集める「公募増資」の3種類があります。
2021年04月、『ティーウェイ航空』が800億ウォンの第三者割当の有償増資を行いました。
先にご紹介したように、『済州航空』は1/5(額面5,000ウォンの普通株式を1,000ウォンに減額)の無償減資を行ってから2,000億ウォンの有償増資を行うというややこしい話になっています。
『エア釜山』は2021年10月に2,500億ウォンの有償増資を行う予定です。うまくいけば、負債比率が1,750%という異常事態(要するに負債が自己資本の17.5倍ある)が改善するものと見られています
このようにLCCはどこもコスト削減と資金調達に必死なのです。
LCCの環境が悪い
韓国のLCCを取り巻く環境はしかし良くありません。韓国ではパンデミックの第4波が到来したと見られ、人の移動がまた制限される事態となって、旅客が戻りません。そもそも韓国にはLCCが多くて過当競争であるため、ただでさえ少ないお客さんを取り合う状況になっているのです。
さらに資源価格の急騰があります。原油価格が上がっているため燃料代が高くなり、その分コストがかさむようになっています。
LCCの苦境を報じた韓国メディア『毎日経済』は、以下のように関係者の言葉を引いています。
(前略)
別の関係者は「このような傾向が続けば、四半期ごとに数百億ウォンの赤字を出しているLCCは間もなく運営資金が底をつくだろう」とし「特に資金力を備えた大企業の系列ではないLCCでは、財務的打撃が大きくなるしかない」と述べた。
(後略)⇒参照・引用元:『毎日経済』「항공기 줄이고 자본확충…허리띠 죄는 LCC」
というわけで、韓国のLCCは危機的状況を脱してはいません。また国策銀行『産業銀行』の出番が来るかもしれません。
(吉田ハンチング@dcp)