これまでダンマリを決め込んでいた中国当局がやっと発言しました。
結局、対外社債の利払いは飛ばしたと見られる中国『恒大集団』ですが、この先の不透明感が増しています。デフォルト宣言はまだ出ていないものの状況は刻一刻と悪化しているからです。
どうするんだ――という話ですが、中国当局は『恒大集団』を支援するつもりはないと見られています。
2021年10月16日、中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』に「Evergrande spillover risks ‘controllable’(『恒大集団』の波及リスクは制御可能)」という記事が出ました。
この記事は『中国人民銀行』の金融市場責任者Zou Lanさんにインタビューを行っており、Zouさんは『恒大集団』の流動性危機は制御可能なレベルにとどまると述べています。
記事から一部を引用します。
(前略)
中国人民銀行の金融市場責任者であるZou Lan氏は、ブリーフィングで、危機は経営の不備によって引き起こされたが、金融セクターの債務は総債務の3分の1しか占めていない、と述べた。Zou氏によると、『恒大集団』の総資産は2兆元(3,100億ドル)を超え、そのうち約60%は不動産開発プロジェクトであり、1,000を超えるプロジェクト子会社が独立した法人として関与しているという。
近年、『恒大集団』は、市況の変化に対応するための慎重な経営に失敗した。代わりに、盲目的に多様化および拡大し、その結果、営業および財務指標の深刻な悪化をもたらした――とZou氏は付け加えました。
「『恒大集団』の問題は、不動産業界の個々のケースに過ぎない」とZou氏は述べている。
(後略)⇒参照・引用元:『Global Times』「Evergrande spillover risks ‘controllable’」
いささか強がりにも聞こえる言説です。不動産セクターで『恒大集団』と同様に債務の問題が心配される企業は数多いのです。また、資産がいくらたくさんあっても問題はキャッシュがショートしているという点です。すぐに売却できこの急場に間に合わなければ意味がありません。
実際、香港にある同社の本社ビル売却(17億ドル)は失敗に終わっています。
『中国人民銀行』はなぜだか制御できると自信を持っているようですが、こればかりは起こってみないと分かりません。バブル崩壊による経済危機のバトンは中国の手にあるのです。
(吉田ハンチング@dcp)