韓国で災害支援金を追加給付しようという話が出ています。これは、政府与党『共に民主党』の統一大統領候補となった李在明(イ・ジェミョン)さんの影響です。
李さんは京畿道知事だった時から、政府に対していくら債務を積んでもいいから(国債を発行しても韓国内で買われているのなら問題ないと言及)災害支援金を給付せよ、と主張していました。
李さんは「国民1人当たり100万ウォン(約9万6,000円)を支給すべき」と述べていたのです。
韓国政府は2020年から現在まで補正予算を5度組み、災害支援金を2回給付しました。災害支援金の他にも個人事業主への損失補てんを行うなど、お金をまいてきました。この財源確保のために国債を発行し、そのために政府負債は増えました(第2次災害支援金はほぼ全てを税収の増加分で賄えましたが)。
しかし、李さんの主張「1人当たり100万ウォン」には届いてはいません。
2021年10月31日、李さんは「災害支援金を1人当たり100万ウォンは行わなければならないと思う。現在までに48~50万ウォン近く給付された。追加で最低でも30~50万ウォンは行わなければならない」と述べています。
統一大統領候補の言葉だというので、与党がこれに反応。検討を行うことになったのです。
しかし、政府財政を預かる企画財政部は反発しています。簡単にいえば「お金がないから」です。
2021年度の支出は2カ月ほどで終了。2022年度の予算は先日固まったばかりです。つまり、災害支援金を出すためのポケット(財源)がありません。
また、政府負債の急増について識者、メディアから批判の声が上がっており、李さんの言うようにホイホイ国債を発行して――というわけにもいきません(それに国債の利回り急騰で政府が国債の買い戻しを行おうかという現状なのです)。
2021年11月02日、金富謙(キム・ブギョム)国務総理(首相に相当)はラジオ番組に出演し、李さんの主張する皆国民際涯支援金の追加支給に「余裕がない」ときっぱり発言しました。
李さんは、人気取りのためなのかあれやこれや思いつきのような発言を繰り返す人です。もし本当に大統領になったら、政府官僚は相当振り回されることになるでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)