中国が日本を標的にして、ガリウム・ゲルマニウムの輸出管理強化に乗り出します。
日本の先端半導体製造装置の輸出管理強化は2023年07月23日に発動されました。
中国の方は、08月01日施行です。
韓国も中国の輸出管理強化が自国を標的にしないかと戦々恐々状態です。先にご紹介したとおり、今回のガリウム・ゲルマニウムについては、産業通商資源部が07月04日に「中国のガリウム‧ゲルマニウム輸出規制の影響チェック」というプレスリリースを出しています。
これによると、全体的に短期的な需給影響は限定的であり、
・ゲルマニウムの場合、業界は代替ガスを使用しており、輸入先の多様化も可能・鉱業公団が40日レベルのガリウム備蓄量を確保しており、備蓄量を拡大し、需給混乱が懸念される場合、迅速に放出するなど積極的に支援する
という結論になっています。
ガリウム・ゲルマニウムについては短期的に問題がないのかもしれませんが、希少金属全体にまで拡大すると、全然大丈夫ではないことが明らかになりました。
『国民の力』のイ・ジョンベ議員が『韓国鉱害鉱業公団』※から提供を受けた資料によれば、2023年05月末時点で、希少金属13種類の平均備蓄量は「42.1日分」と集計されたとのこと(『東亜日報』記事による)。
※『韓国鉱害鉱業公団』は、『韓国鉱物資源公社』が大赤字で債務超過に陥ったため、『鉱害管理公団』と合併して誕生した組織です。
韓国「公社を合併」して大赤字を糊塗する!負債「6.6兆ウォン」韓国の公社はその多くで財務状況が大変によろしくありません。「お金がないのでニッケル鉱山を売らなければならないが日本に売るのは悔しい」などと詮なきことを述べていた『鉱物資源公社』については以前ご紹介しました。この『鉱物資源公社』はもう二進も三...この1日分というのは、韓国国内企業が消費する1日の量を意味しています。
韓国政府は2022年末に「希少金属についての政府備蓄目標」を100日分(重希土類、コバルトは180日分)に上方修正しました(ほぼ2倍に拡大)。
いわずもがなアメリカ合衆国・中国の対立によって資源確保が怪しくなってきたからです。それはいいのですが、2023年05月末時点での備蓄量は以下のようになっています。
韓国政府「希少金属」備蓄量(2023年05月末時点)
ストロンチウム:2.7日分
リチウム:5.8日分
コバルト:12.4日分
シリコン:19.2日分
マグネシウム:20.6日分
ガリウム:40日分
モリブデン:40日分
チタン:43日分
クロム:50.1日分
バナジウム:52.1日分
ニオブ:52.3日分
タングステン:53.2
希土類(軽):72日分
希土類(中):126.5日分
※データ出典:『韓国鉱害鉱業公団』データが正しいのであれば、輸入が止まった場合、リチウムは6日で干上がることになります。コバルトも13日でなくなります。
韓国が主力輸出品と誇る二次電池の主要原材料ですので、これは大変に危うい状況です。
本件を報じた『東亜日報』によれば、備蓄が増えないのは予算がないからです。同紙は以下のように欠いています。
(前略)
問題は、備蓄量を増やしたくても予算が足りないという点だ。今年、『韓国鉱害鉱業公団』が希少金属購入のために受け取った政府出資金は372億3,200万ウォンだ。
政府の財政健全化基調で昨年受けた487億9,100万ウォンより23.7%減った規模だ。
産業通商資源部は希少金属備蓄目標量を達成するには、希少金属購入予算を1,000億ウォンまで増やさなければならないと見ている。
現在、産業部は企画財政部と一緒に関連予算の拡大を協議している。
さらに希少金属価格が乱高下しているため、購入時期を決めるのも容易ではない。
昨年の希少金属の平均輸入単価は1t当たり4,687ドルで前年より95.4%急騰した。
実際、二次電池の核心原料である炭酸リチウムの場合、2020年09月にkg当たり平均6ドル台だったが、電気自動車市場の急成長に伴い価格が高騰し、2022年11月に80ドル台を突破し、1,200%前後急騰した。
産業部の関係者は、「各国のエネルギー転換政策により需要が増加し、中国など生産国の削減政策まで重なり、鉱物価格の変動性が高まっている」とし、「適正価格を見極めるのが難しく、鉱物を購入するのに苦労している」と述べた。
財政健全化というので「備蓄するための予算」が減らされた上に、資源価格が急騰しているので、備蓄が増えないのです。
お金がないのは首がないのと同じ、とはよく言ったもので、この状態で中国からの嫌がらせが直撃すると大変な事態になります。
もちろん日本も他人事ではありませんが、韓国がどのように対処するのかにご注目くだい。
(吉田ハンチング@dcp)