Money1では連日ドルウォンレートの動きについてご紹介していますが、2020年05月08日、韓国メディア『韓国経済』に興味深い記事が出ました。
韓国は2020年の経済収支が赤字になることが確実視されていますが、これによってドルウォンレートが急騰する(大きくウォン安に進む)のではないか、というのです。
韓国は、実は2019年04月にも経常収支の赤字を記録していて、その際にもドルウォンレートの急騰が見られたから―というのがその理由です。
記事から以下に引用します。
4月の経常収支が赤字に転じる可能性が高まり、外国為替市場が緊張している。
1年前の4月に赤字が発生した当時、ドルウォン為替レートが大幅に上昇したからだ。
(中略)
経常収支の赤字記録に当時外国為替市場は揺れ動いた。
昨年4月中旬1,130ウォン台で動いたドルウォン為替レートは、経常収支赤字の可能性が提起されると急速に上昇幅を拡大した。1,190ウォン台に上がったのだ。
⇒参照・引用元:『韓国経済』「1年ぶりに『4月の経常赤字』の予告…ウォン・ドル為替レート、上昇信号?」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
経常収支赤字の可能性が提示されると「1ドル=1,130ウォン」台だったものが「「1ドル=1,190ウォン」台まで急騰した、と述べています。
チャートで確認してみましょう。以下は2019年01月23日から11月15日までの日足チャートです(チャートは『Investing.com』より引用:以下同)。ローソク足1本は1日の値動きを示します。
上掲のとおり、04月まではローソク足の実体線が「1ドル=1,140ウォン」を超えることはなく、04月になってから5日だけこれを超えます。
ところが、04月24日に急騰。以降は「1ドル=1,190ウォン」超までウォン安が進行しました。
今回の「04月に経常収支赤字」予想によって、また同様のことが起こるのではないか?というわけです。同記事は、ウォン安がどこまで進行するのかについて『三星証券』の研究員の言葉を引いて以下のように結んでいます。
(前略)
研究員は、今月ドルウォン為替レートの天井には1,260ウォン台、第3四半期には1,300ウォンまで覚悟しておかなければならない、と推定した。
ずいぶん悲観的な予測です。
Money1の先の記事でご紹介した図を以下に再掲載しますが、実はウォン安は以下のようにずっと進行してきています。
今回「経常収支の赤字」で注目された「2019年04月」は、上掲の図では「レンジ相場②」がちょうど上(ウォン安方向)にレンジブレイクするときでした。
上記の04月24日の急騰(ウォン安の急進行)がレンジブイクを明確に告げたのです。
同記事では「赤字は季節的なものだから大丈夫」といった意見も紹介されているのですが、さてどうなるでしょうか?
韓国では「韓国は国際的にも強盛国」と誇ったりしますが、強盛国なら「なぜウォンの価値が下がり続けているのか」が不思議です。国力が上昇すると普通その国の通貨の価値は上がりますから。
強盛国という言葉がそもそも日本では一般的ではありませんが。
(柏ケミカル@dcp)