韓国の経済についての資料を探してネットをうろうろしていると、思いもしなかった面白い文書に出くわすことがあります。
今回は『韓国開発研究所』(KDI)が公開している「通貨スワップ」についての説明で面白い箇所があったのでご紹介します。
目の前の危機が見えなかったことがあるシンクタンクです
この『KDI』は韓国ウォッチャーの皆さんの間では有名かと思われます。一応はシンクタンクですが、1997年の「アジア通貨危機時」、韓国がIMFの救済を受ける1カ月前まで『韓国銀行』と一緒になって「今年の経済成長率は6%を超えるだろう」と現状からかけ離れたことを言っていたことで知られています※1。
以下は2009年11月04日付けの『KDI』の公式サイトで閲覧できる「通貨スワップ[currency swap]」という記事の最後の段落です。
同記事は、もともと「click経済教育」という経済教育専門誌の2009年02月号(通巻66号)に掲載されたもののようです。
(前略)
米国、日本、中国との通貨スワップ協定締結で形成された4大国間の協調体制は、我が国に心強い安定装置となることができるものであることには異論がない。ただし、ドル不足の根本的な解決のためには経常収支の持続的な黒字と外国人投資の純流入と外債を返済することができる根本的な対策が必要である。
つまり、為替レートの安定は、外貨準備高の他にも、経常収支と基礎体力がしっかりしていなければ意味がないということだ。
韓国の前に、米国とドルスワップ協定を結んだ10カ国の中で日本を除くほとんどの国では通貨スワップ後むしろ相場が急騰したことも参考になるようだ。
合衆国、日本、中国……あと一つ、大国ってどこだろう?と二度見しませんでしょうか。
自分の国も入れてさらっと4大国間の協調なんて書いています。
「こういう自信がどこから湧いてくるのだろうか」と、何事もあっさりが好みの山紫水明の国の人間なら思うのではないでしょうか。
ちなみに、最後の文の「通貨スワップ後むしろ相場が急騰した」というのは、以下のようなウォン安の急伸を指しているようです(チャートは『Investing.com』より引用)。
いったん危機的状況になれば、「ウォン」のようなローカルカレンシーというのは、たとえドルや円の後ろ盾があったとしても信認が得られにくいということなのではないでしょうか。「日本以外」と書いていますが、これは当然。ご期待に添えず誠に恐縮なのですが、「日本円」はハードカレンシーなのでウォンとは違うのです。世界最大の債権国をなめるなよ、というところでしょうか。
※1本当です。この件について触れた『中央日報(日本語版)』の記事がまだネットに残っています。以下のURLを参照してください。
⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「コラム】民心は熱く、国民は善良だ=韓国」
(吉田ハンチング@dcp)