韓国メディア『韓国経済』に「『半導体大乱』にもトヨタはどのように10%利益を増やしたのか」という記事が出ました。
世界的半導体不足で自動車生産がスムーズに行えず、各国の自動車産業は窮地に陥っているのに日本『トヨタ』はむしろ利益を伸ばしている、と驚きを伝えるものです(またその理由も)。
まず、『トヨタ』の2020年の決算を見てみましょう。
総売上:27兆2,145億円(対前年同期比:-8.9%)
営業利益:2兆1,977億円(対前年同期比:-8.4%)
当期純利益:2兆2,823億円(対前年同期比:+8.1%)
データ出典:『トヨタ』公式サイト「2021年3月期決算要旨」
コロナ禍によって売上が下がり、その分営業利益も減少していますが、純利益の方は逆に増えています。ちなみに、『トヨタ』は次期(すでに始まっている2021年04月~2022年03月期)には、
を見込んでいます。
また、世界的な半導体不足が話題に上るようになった2021年01~03月(決算上は第4四半期)の結果だけ取り出してみると、
営業利益:6,898億円(対前年同期比:+3,299億円/+91.7%)
当期純利益:7,771億円(対前年同期比:+4,498億円/+137.4%)
となります。コロナ禍に苦しんだ2020年01~03月から大きく回復しました。『トヨタ』は半導体不足の影響をものともせず業績を大きく伸ばしたのです。
当期純利益は『フォルクスワーゲン』の倍以上ある!
これを、世界最大手と呼ばれ、『トヨタ』と競争しているドイツ『フォルクスワーゲン』と比べてみると『トヨタ』のスゴさがさらによく分かります。
総売上:約8兆2,611億円(624億ユーロ)
営業利益:約6,373億円(48億ユーロ)
当期純利益:約3,771億円(34億ユーロ)
総売上では『フォルクスワーゲン』の方が「5,718億円」多いのに、営業利益になると『トヨタ』の方が「525億円」多いのです。
当期純利益で比較すると「トヨタ:7,771億円」「フォルクスワーゲン:約3,711億円」で倍以上の開きがあります。
なぜ、『トヨタ』がこのように利益を出せたかについて、『韓国経済』の記事は『日本経済新聞』の分析を引いて、以下のような主旨でまとめています。
それを可能にしたのは、2011年起こった東日本大震災のときに部品供給に苦しんだ経験である。
この経験を奇貨として『トヨタ』はコアパーツの在庫を増やすようにサプライヤーに要請し、これが現在の半導体不足の状況での苦労を軽減したのだ。
現在『トヨタ』は「2次、3次部品メーカーを含めたサプライチェーン全体の在庫状況をリアルタイムで確認できるシステムを作っている」とのこと。
韓国『現代自動車』の決算も見てみよう!
せっかくですので、元記事にはありませんが、韓国『現代自動車』の2020年の決算も見てみましょう。
総売上:103兆9,980億ウォン(約10兆878億円)
営業利益:2兆3,950億ウォン(約2,323億円)
当期純利益:1兆9,250億ウォン(約1,867億円)
データ出典:『現代自動車』公式サイト「要約財務現況」
対トヨタ比を計算してみると以下のようになります。
総売上:37.1%
営業利益:10.6%
当期純利益:8.2%
『現代自動車』は総売上が『トヨタ』の37.1%です。
それはいいのですが、それならそれで「営業利益」「当期純利益」もその比率で小さくなりそうなものですが、「営業利益:10.6%」「当期純利益:8.2%」と比較にならないほど金額が小さくなっていきます。これは『現代自動車』の利益構造が『トヨタ』と比較してはるかに脆弱だということを意味しています。
確かに「『トヨタ』恐るべし」です。さすが世界に冠たる自動車企業といったところでしょうか。
⇒参照・引用元:『韓国経済』「’반도체 대란’에도 도요타는 어떻게 순익 10% 늘렸나 [정영효의 일본산업 분석]」
(吉田ハンチング@dcp)