韓国の日本への態度に日本人は不満や反感を覚えることがあります。しかし、それはどこかで「韓国の皆さんだって日本人と同じように考えるはずだ」という思い込みがあるから起こるのかもしれません。
最初から、日本人とは違うメンタリティー・思考法を持つ人が住んでいるんだ、と思っていれば腹も立たないし、期待もしないし、より合理的に対処できるのではないか――これも一つの考え方でしょう。
「日本人は『朝鮮半島には違う人が住んでいる』と理解しよう」と説くのは、韓国に深い知見をお持ちの鈴置高史先生です。卓見という他ありません。
少し長くなりますが、以下に鈴置先生の言葉を引きます(岸田内閣が成立した後での「BSフジの番組」での発言です)。
(前略)
岸田さんが去年の09月に出した本の中にちょっとあやしげなところがありましてですね、「やっぱり日韓関係は大事だから改善しなきゃいけない」。これっていかにもそれらしいんだけど、そう言ったら負けなんです。
つまり、今まで韓国は瀬戸際戦略を取ってきたからです。
日韓関係、オレの言うことを聞かないと、日韓関係壊してもいいのかって。で、日本が譲歩していく歴史だった。
で、アメリカも日本に「お前の方が強いんだから譲歩してやれ」って言われてきた。
安倍さんになって、ややそれが修正して、「日韓関係悪くなったっていいよ」ぐらいにね。そうは言わないけど。
そういう姿勢にしたから韓国はちょっとビビり始めた。
せっかくそれで韓国がビビってですね「日本にインチキ言ってもたぶん(日本は:筆者注)だまされないな」と思ってんだけど、今度は脇が甘い岸田さんになったぞ、と。
これは私が言ってるんじゃないですよ。韓国がそう思ってるわけ。韓国の新聞にもそう書いてあるわけだ。
――瀬戸際外交っていうのは北朝鮮に対してよく使う言葉ですよ。南北朝鮮民族のみなさんていうのは大国、周辺国相手にそういう外交を展開する歴史的なバックがあるんですか?
えーっと、私は歴史学者じゃないんで、そこまで言い切りませんけど、少なくとも現実問題としてですね、大国に対抗するためにはですね、捨て身の戦法でいかなきゃしょうがないよっていう時があるわけです。
だからですね、日本の側がお公家さんみないな首相だったり、外相だったりすると、たちどころにやられちゃうわけです。
例えばですね、どっかの……反町さん(番組司会の反町理(そりまち おさむ)さん:筆者注)のようなボンボンがいたとしますね。
――はいはい。ボンボンじゃないですけどね(笑)。
それで……ヤクザのチンピラがですね、反町さんに対してなんか取ろうとして強気に出たらですね、やっぱりまともな人は、ヤクザに迫られたら下りちゃうことが多いわけです。
そうやって韓国人は生きてきたわけです。そうしないと生きてこれなかったのです。
でね、それ「いい悪い」の問題じゃないです。それが現実なんです。
で、韓国も……朝鮮半島に住む人々も私たちと同じような人だと思っても、間違ってしまうと思います。
初めからそう思っていれば腹も立たないけど……私は、日本人の中の反韓国的な人はですね――韓国にべたべたで、韓国いい人って思っていて、どこかで裏切られて急に怒り出す――こういう人が極めて多いんです。
初めはですね、「ああ鈴置さん、韓国語しゃべれていいですね」とかって言ってた人が、急に「お前、韓国のスパイか」って言い出す(笑)。
いや、私結局…あの、「あなたの方が韓国の手先だったんじゃないですか」って言いたいときあります。
初めからちゃんと冷静にですね、「私たちとは違う人が住んでるんだ」。
日本てのは島国でですね、それなりの国力もあって、坊ちゃん育ちでやってきたわけです。朝鮮半島にいるとですね、年中大陸の……あの……韓国人の言う「野蛮人」にやれらるわけです。
そしたら「すれっからし」になっていくわけです。外交的な。それを理解した方がいいと思いますね。
(後略)
韓国は捨て身の瀬戸際外交を繰り出しており、これは日本人にはなかなか理解できないだろう――と鈴置先生は指摘していらっしゃいます。また、なぜこのようなすれっからしの外交姿勢になるのかといえば、「そうしないとこれまで生きてこられなかったからだ」とも。
それが小国の生きる方法であり、いいも悪いもなく、現実だから仕方がない――という説明です。
このように考えると、なんだかお気の毒で憐憫の情すら持ってしまいますが、このような感情が湧くことも、「日本人が坊ちゃん育ち」なせいなのかもしれません。
韓国と相対するとき、日本は感情を殺して合理的に対応することのみを心掛けるべきなのでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)