韓国の大法院(最高裁判所に相当)は、目処と目されていた2022年08月19日に「日本企業の資産売却を確定させる判断」を出しませんでした。
08月19日は再抗告が受理されてから4カ月後で、この日までなら大法院は理由を示すことなく「審理不続行」の判断を出せました。
再抗告についての審理をこれ以上行わないという判断は、すなわち再抗告の棄却であって「現金化Go」という結果を招きます。しかし、大法院は結論を出しませんでした。――ということは、審理が継続され、また大法院は判断について理由を示さなければならなくなったことを意味します。
韓国メディアの多くは「大法院の内部ではすでに現金化Goの判断はなされており、08月中にも結論が出るだろう」という推測を出しています。
この「08月中に結論が出るだろう」の根拠は、最高裁判所第3部の主審である金哉衡(キム・ジェヒョン)大法官が2022年09月04日に退任するので、「それまでには結論を出すはず」という推測です。
しかし、「判断が出るまで長引くのではないか」という推測を出している韓国メディアもあります。
『The Fact』の記事から一部を以下に引用します。
(前略)
当初、法曹界では審理不続行棄却という意見が多かったが、対日関係を改善するという新しい政府の意志が反映された。外交部は「合理的解決のために外交的努力を傾けている」という意見書を最高裁に提出し、事実上保留を要請した。
被害者側は外交部側に民官協議会不参加を通報するなど反発している。
これにより最高裁判所がいつ判決を宣告するか注目が集まる。
事件を担当する最高裁判所裁判部の主審である金哉衡(キム・ジェヒョン)大法官が退任する来月4日の前には結論が出るという展望も出ている。
最高裁判所は一応は否認している。
最高裁判所の関係者は「この事件をいつまでに決定すると方針を定めたり、最高裁内部で合意したりしていない」と明らかにした。
実際、最高裁判所が退任前に処理できなかった事件は、新任判事が引き継ぐのが慣例だ。状況によっては裁判部の構成を変えることもある。
(後略)
注目いただきたいのは、当記事によれば多くの韓国メディアが報じている「08月に結論が出る」という推測を「最高裁判所の関係者が(一応は)否定した」と書いている点です。
「いつまでに決定する」と大法院内で合意したことなどない――というのです。
また、主審が退官しても案件は引き継がれるのが普通、という指摘は「08月中に判断が出る」の根拠を「?」にするものです。
この『The Fact』の報道が正しいのであれば、08月末までに大法院が判断するかどうかは分かりません。とりあえず4カ月で判断が出ませんでしたので「審理続行」のモードに入ったのは確かです。ですから長期化の可能性はあります。一方で明日判断が出る可能性だってあるわけですが。
混沌としてきたのは確かです。
(吉田ハンチング@dcp)