07月24日、中国国防報道官が国防白書を公表しましたが、台湾独立の動きに対して「戦争をする用意がある」と述べました※。
アメリカ合衆国と中国の新冷戦では、台湾がホットスポットとなり、2019年になってにわかに緊張が高まっています。
そもそもこの緊張は、2019年01月に公表された習近平国家主席の「重要講和」によって始まったといえます。この重要講和は「台湾同胞に告ぐ書」40周年記念で行われました。
「台湾同胞に告ぐ書」とは、合衆国と中国が国交を正常化した1979年01月01日、全国人民代表大会常務委員会の名義で発表された文書です。この文書では、台湾の現実を鑑み、台湾人民に損失をもたらさない旨が表明されました。若い人は知らないかもしれませんが、それまでの中国は金門島に砲弾を撃ち込むなどを行っており、台湾海峡は一触即発の危機状態にあったのです。「台湾同胞に告ぐ書」の発表によって砲撃はやみました。
現在の台湾・中国の関係は、同文書によってまず規定されたといえます。合衆国は中国との国交正常化によって、公式に台湾を国と認めなくなり、合衆国内の親台湾派(第二次世界大戦時に蒋介石を支援した人たちに端を発する)の意見を抑え込んだといえます。この合衆国の変節が日本にも大きな影響を及ぼしました。
2019年の「重要講和」に戻ります。
「台湾同胞に告ぐ書」40周年を記念した、習近平国家主席による「重要講和」は、「武力行使の放棄を約束せず」としており、台湾が独立を指向するのであれば武力行使を辞さない態度を明確にしました。これが07月24日の国防白書に継承されているわけです。
しかし、これはヤブヘビで合衆国からの強い反発を招きました。この強硬な発言が貿易協議がまとまらない中、合衆国の目を台湾に改めて向けさせることになったのです。
この台湾問題はこれからの世界秩序に大きな影響を及ぼし、また投資市場をも左右する問題ですので、Money1ではこれからも取り上げて参ります。
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⇒参照記事:『REUTERS(日本語版)』「台湾独立に向けた動きあれば、戦争も辞さない=中国国防省」
https://jp.reuters.com/article/china-taiwan-usa-idJPKCN1UJ09R
(柏ケミカル@dcp)