2023年11月12日、『Chicago Council on Global Affairs』(シカゴグローバル問題評議会)が興味深いリポートを出しています。
アンケート調査(2023年09月07~18日に実施)を行った結果の公表ですが、これによると「アメリカ人は、冷戦終結以降のどの時点よりも中国の台頭を懸念している」ことが判明しました。
Key Findings (主要な調査結果)のところだけ拾ってみると以下のようになっています。
アメリカ国民の58%が、中国の世界的な大国化は合衆国の死活的利益に対する重大な脅威であると考えており、これは1990年から現在までの『シカゴグローバル問題評議会』の調査の中で最高水準であった。
アメリカ国民は、どちらが経済的に強いかについて、3分の1がアメリカ(33%)、別の3分の1が中国(32%)、そして最後の3分の1が両者の経済力はほぼ同等(33%)と、意見が拮抗して分かれている。
アメリカ国民は中国に対するアメリカの軍事力に自信を持っている(46%がアメリカ、15%が中国、37%がほぼ同等)。
世界的な影響力を10段階で評価すると、合衆国は平均8.4点、中国は7.5点。これは2002年以降の『シカゴグローバル問題評議会』調査の中で最も小さな差となった。
多くのアメリカ国民(46%)が、アメリカの指導者たちは中国との競争という問題に十分な注意を払っていないと答えている。
人権問題から知的財産権問題まで、アメリカ国民は総じて、中国に対するアメリカ政府の対応は「十分でない」と回答する人が「適切である」と回答する人よりも多い。「行き過ぎである」とする人はほとんどいない。
合衆国国民の皆さんの58%、約6割の人が、中国の大国化が合衆国の死活的利益に対する重大な脅威と答えています。冷戦終結以降最高の数字とのことなので、反中意識も高いものと思われます。
一方で合衆国の軍事力には自身を持っている人が多いのです。ただし、経済については拮抗しています。
面白いのは、「合衆国の指導者が中国の脅威について十分に対応していない」と考えている人が46%もいるころです。ほぼ半分といってもいいでしょう。
簡単にいえば「政府は手ぬるい」というわけです。
来年はもう大統領選挙の年ですが、誰が大統領になるにせよ、国民の多くが「政府の中国に対する対応は十分ではない」と考えていますの、対中国政策は厳しいものになるでしょう。
そうしなければ合衆国の皆さんが納得しません。
日本でも同様のアンケートを取ってみるべきです。「岸田文雄は手ぬるい」と答える日本人はどのくらいの割合になるでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)