まさしく「速っ!」という決断でした。
パナマ運河があるパナマで中国が影響力を増していることに、第2次トランプ政権が発足したアメリカ合衆国は懸念を表明、圧力を加えました。
――結果、2025年02月06日、パナマのムリノ大統領は、「一帯一路」離脱に向けた手続きを正式に開始した――と明らかにしました。合衆国のマルコ・ルビオ国務長官が大統領と会談を行ったのが02日です。
この一帯一路から抜けます!という決断について、中国の外交部は定例記者ブリーフィングで以下のように発言しています。
『アナトリア通信社』記者:
パナマが中国側との「一帯一路」共同建設協力協定から脱退すると発表しました。パナマのムリノ大統領は、中国側に対し、協定脱退を90日前に通知するよう指示したと述べました。中国側はこれについてどのようにコメントしますか? また、パナマがこの決定を下したのは、アメリカからの圧力を受けたためだと考えますか?
林剣:
中国は、合衆国が圧力や脅迫の手段を用いて「一帯一路」共同建設協力を中傷し、妨害する行為に断固反対する。また、パナマ側が覚書の更新をしないと表明したことについて、深い遺憾の意を表す。「一帯一路」は経済協力のイニシアティブであり、20以上のラテンアメリカ諸国を含む150以上の国々が積極的に参加し、その成果はパナマを含む各国の国民に恩恵をもたらしている。
近年、中国とパナマ両国は「一帯一路」枠組みの下での協力において大きな成果を収め、両国民に継続的な利益をもたらしてきた。
パナマ側が両国関係の大局と両国民の長期的な利益を考慮し、外部からの干渉を排除し、正しい決定を下すことを望む。
(後略)
中国の林剣報道官は、一帯一路から抜ける手続きを開始するという、ムリノ大統領の発表に対して遺憾の意を表明。合衆国が一帯一路を妨害したと思うか?――という質問には答えませんでしたが、合衆国の圧力や脅迫を非難する、としたので「妨害した」と認識しているのは確かです。
今回の発表で面白いのは、そもそもルビオ国務長官との会談が行われる前から、「一帯一路を抜けること」は決定されていた――という報道があることです。以下をご覧ください。
『Reuters(ロイター)』記者:
パナマ大統領は、「一帯一路」協力協定からの離脱決定は、合衆国のルビオ国務長官の訪問前にすでに下されていたと述べました。中国側はこれについてどのようにコメントしますか?
林剣(中国外務省報道官):
パナマ大統領の「一帯一路」に関する発言については、中国側はすでに対応を表明しました。ここで強調したいのは、中国とパナマが国交を樹立して以来、両国関係は全面的かつ急速に発展しており、「一帯一路」枠組みのもとでの協力も大きな成果を上げ、両国民に多くの利益をもたらしてきたということです。
パナマ側が、両国関係の全体的な視点と両国民の長期的利益を考慮し、外部からの干渉を排除して、正しい決定を下すことを望みます。
中国政府は、パナマの決断に対し、パナマ大使を呼んで抗議を行いました。
中国にとっては失点ですが、パナマ運河を中国から取り戻すというのは、合衆国にとっては当然の施策といえます。中南米は合衆国の柔らかな下腹なので、そこに安全保障上のリスクがあるのは看過できないからです。
(吉田ハンチング@dcp)