所得税というのは「所得」に掛かります。ざっくり言えば、「売上」から「その売上を立てるのに掛かった全経費」を引いたものが「所得」ですから、その仕組み上、経費を積めば積むほど所得が減って税金を安く済ませることができます。今回は、この経費についてです。
■経費にできるかどうかは説得力!
税理士さんの話によれば、税務署に経費と認められるためには「自分の商売との関連性をいかに説明できるか」がキーポイントだそうです。
例えば「経費で営業車としてフェラーリを購入した」なんて場合でも、そのクルマを実際に営業車として使う理由があり、実際に営業で用いているのであれば、税務署から「フェラーリで営業車って社長! そんなわけないでしょ」と言われても十分抗弁できるとのこと。また、「営業車として使っていない」ことを証明しなければならないのは税務署の方ですから、それこそ張り込みぐらいしないとなりません。
実際に、高級車じゃなければ取引先へのアピールができないとして高価なクルマを営業車として使用している事業者もあるわけです。例えば、高級品の販売を行っている事業者などの場合にはこのようなケースがあるとのことです。
■どのような職業が経費を認められやすいか?
では、実際にどのような職業が経費を計上しやすいのでしょうか。今回お話を伺った税理士さんのお話では、「夫婦でデザイン事務所をやっている会社で、海外旅行を全て経費として計上している」という実例があったそうです。
ただし、この会社では海外旅行に行き、そこで撮影した写真などを元にカレンダーを制作。それが大手の銀行に採用されているという実績があったそうです。つまり、その海外旅行も売上につながるという関連性が説明可能だったわけです。
また、編集者、ライターなどの職業も比較的経費が認められやすい職業だそうです。本やDVD、CDといった資料、また旅行などについても取材などと商売との関連性が説明しやすいからです。他に、ミュージシャンであれば「衣装」「楽器」なども経費で落とすことが可能でしょう、とのことでした。
■麻生さん効果! 交際費は緩和された!
2013年度から、麻生財務相の肝いりで導入されたいわゆる「交際費の減税」措置は、中小企業にとって経費枠を拡大する効果がありました。それまでは、
・上限600万円まで
・交際費で使った金額の90%まで
という制限があったのです。しかし「800万円まで認めてやりゃいいじゃねぇか」という麻生さんの英断(?)によって、資本金1億円以下の法人つまり中小企業では、交際費が800万円までは損金算入できることになりました。
税理士さんの話では、建築業の社長さんで、毎年取引先の人たち数人を連れて慰安旅行に出掛け、その代金を全て交際費としているといった例もあったそうです。企業がお金を使わないと……という麻生さんの狙いは正解だったわけです。
残念ながら、サラリーマンの場合はあらかじめ控除システムががんじがらめで、自分で経費を積んで税金を安くするといった離れ業はほぼできません。しかし、そのシステムで税務署とガチで勝負だ! といった事態も避けられているわけです。
*……きわどい話題ですので、お話を伺った税理士先生の名前は秘匿させていただきました。ご了承ください。
(高橋モータース@dcp)