韓国の法制度の緩さ、恣意性を物語るような話です。
『サムスン電子』の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長は、2021年08月13日、光復節に先だって仮釈放されました。
あくでも仮釈放ですので、本来であれば「5年間は『サムスン電子』関連の職には就けない」「海外出張はできない」という制限が法的に科されています。これをクリアするには特別の申請を行い当局に認可されなければなりません。
しかし、李副会長は『サムスン電子』に出社して仕事をしています。なぜこのようなことが許されるかというと「無給なので労働じゃない」とサムスン側が主張しているからです。李副会長もこれで通していますし、韓国政府も認めてしまっているのです。
市民団体が「就業規則違反」で李副会長を告訴する
さすがに「それはおかしだろう」と韓国内からも声が上がっています。
また、韓国には大企業を目の敵にしている市民団体が多くあり、文在寅政権の支持母体なわけですが、このような市民団体から「就業制限違犯である」として告発されています。
以下は、2021年09月01日に、李副会長をソウル中央地検に告訴した『経済正義実践市民連合』のプレスリリースです。リリースの中から告訴に至ったポイントを引用します。
(前略)
●しかし、李在鎔副会長は、仮釈放当日、瑞草社屋に入り経営陣と会談するなど、尋常でない兆しを見せた。仮釈放11日後には「今後3年間、半導体・バイオなどの戦略分野に240兆ウォンを注ぎ込んで4万人を直接雇用」という大規模な投資戦略を直接発表し、半導体事業部を含めて、サムスン電子事業部門別懇談会を持ち、サムスン関連会社の経営陣とも相次いで会うなど、事実上副会長としての業務を進行している。
それにもかかわらず、パク・ボムギェ法務部長官は、「未払い・非常勤・未登記役員の状態に経営に参加することは就業制限違反ではない」と主張するなど、法務部長官として不適切な言動をしている。
●仮釈放と同時に被害者でもある『サムスン電子』の経営行為をした李在鎔副会長を就業制限違反で処罰しなければ、事実上、特定経済犯罪法第14条の就業制限は死文化(死文化)されて、誰にも適用できなくなることが歴然としている。
このような理由から、市民社会団体は、李在鎔副会長を特定経済犯罪法違反の疑いで告発する。
法務部長が「無給で働いている場合は就業制限に抵触しない」という態度をとっているので、業を煮やした『経済正義実践市民連合』が告訴に踏み切ったというのです。
合衆国出張を計画中!半導体とワクチンのために働く
で、韓国メディア『朝鮮日報』の記事によれば、秋夕(チュソク)の連休(18~22日)にアメリカ合衆国への出張を計画しているとのこと。
こちらも政府は容認の構えですが、これは仮釈放を決めた際の条件である「半導体投資」「ワクチン確保」に関係するためと見られます。
『朝鮮日報』の記事によれば、李副会長は最近『Moderna(モデルナ)』経営トップとビデオ会議を行ったことが分かったとのこと。
韓国政府は予定どおり、李副会長はフル回転で働かせるつもりです。韓国の法律は自由ですな。
(吉田ハンチング@dcp)