2023年12月11・12日、中国・北京で「中央経済工作会議」(CEWC)が開催されました。
毎度のことながら、習近平総書記が重要演説を行ったとして、中国の政府機関からプレスリリースが出ています。中身は特に大したものではありません。
中国の教条主義的なプレスリリース
(前略)
会議では、来年の経済業務でよい仕事をするためには、習近平の「新時代の中国の特色ある社会主義思想」に導かれ、第20回中国共産党全国代表大会と第20期中国共産党中央委員会第2回全体会議の精神を全面的に実施し、着実な歩調を保ちながら進歩を求めるという総調子を堅持し、新発展理念を全面的、正確かつ全面的に貫徹し、新発展パターンの建設を加速し、質の高い発展を重点的に推進し、改革開放を全面的に深化させ、ハイレベルの科学技術自給を推進し、マクロ経済の調整とコントロールを強化し、
中国型現代化という壮大な青写真を一歩一歩美しい現実に変えていく必要があることが強調された。
(後略)
今回のプレスリリースは、上掲のような白髪三千丈式の長くてだらだらした文が続くばかりのもの。中身は全くありません。
「第20回中国共産党全国代表大会と……」から「……の調整とコントロールを強化し」までの、長いブロックはまるまるトルツメでも意味は通じます。
「習近平の『新時代の中国の特色ある社会主義思想』に導かれ……」が一番いいたいことだからです。
うわごとのように「安定」と言っている
ただ、この「中央経済工作会議」で述べられた「中国はどうすべきか」の中に、面白い文があるのです。中国式のだらだら長い一文ですが、以下をご覧ください。
(前略)
会议要求,明年要坚持稳中求进、以进促稳、先立后破,多出有利于稳预期、稳增长、稳就业的政策,在转方式、调结构、提质量、增效益上积极进取,不断巩固稳中向好的基础。要强化宏观政策逆周期和跨周期调节,继续实施积极的财政政策和稳健的货币政策,加强政策工具创新和协调配合。会議では、来年は、安定を維持しながら前進を求め、前進とともに安定を促進し、破れる前に確立するという原則を堅持し、安定化への期待、成長の安定、雇用の安定に資する政策をさらに導入し、運営形態の転換、構造の調整、質の向上、効率の向上を積極的に進め、安定化と好転の基盤を継続的に固めるよう要請した。
(後略)
「安定」って何回言うねん!――と突っ込まれるような文です。一つの文の中に「安定」が6回も出てきます。うわごとのように「安定」「安定」と言っています。
これはいかに中国が不安定かを示しています。不安定で仕方ないから「安定」が渇望されるのです。しかし、安定と唱えたからといって、そうなるわけではありません。
習近平はベトナムへ!
ちなみに、習近平さんは大事な「中央経済工作会議」で重要な演説を行ったかもしれませんが、そそくさとベトナムを訪問しています。『Voice of America』の報道を信用するなら、習近平さんは「中央経済工作会議」の日程を半分ばっくれたようです。
↑習近平総書記のベトナム訪問を伝える動画。YouTube『明日視界』チャンネル。
この「中央経済工作会議」は本来なら非常に重要な会議なのです。中国共産党中央委員会と国務院が共同で招集する中国最高レベルの経済会議で、1994年から毎年、主に12月上旬から中旬にかけて開催されています。通常なら中国共産党(中共)総書記が議長を務め、国務院総理が演説。この会議日程を半分バックレるというのは――おかしな話なのです。
中国ウォッチャーの間からは「どうした習近平」の声が上がっています。無理もありません。
(吉田ハンチング@dcp)