韓国は合計特殊出生率が2022年時点で「0.78」。世界最悪で、2023年にはこれがさらに下がると見られ、早晩0.6台に転落するでしょう。そのため、韓国は世界で最も早く人口減少で消滅する国と見られています。
※合計特殊出生率は「女性一人が15歳から49歳までに出産する子供の数の平均」です。この数字が2.2ないと人口は増えていかないといわれます。
「このままではマズイ」と韓国政府は少子化対策を行ってきたのですが、効果は全くありませんでした。
先にご紹介したとおり、16年間で280兆ウォンも突っ込んだのにちっとも合計特殊出生率は向上しなかったのです(金額には諸説あり/理由は「これ少子化対策?」みたいなものまでカウントしている政権があるからです)。
しかし、それでも希望をかけて少子化対策を行うしかありません。どこかの監督の名言ではありませんが「諦めたらそこで試合終了」だからです。
2023年12月18日、「要は金だな」ということで、仁川市の劉正福(ユ・ジョンボク)市長(上掲写真)は大盤振る舞いな施策を打ち出しました。
「よし、1億ウォン出そうじゃないか!」
現在のところ、仁川市と中央政府を足して、(仁川市で生まれた全ての)子供1人当たりに以下のような支援給付金額です。
初対面利用券:200万ウォン
(出産時に最初に1回支給されるバウチャーで、出産祝いおよび初期子育て支援を国民幸福カードとして利用できるサービス)
親給与:1,800万ウォン
児童手当:960万ウォン
保育料と給食費:2,540万ウォン
小・中・高教育費:1,650万ウォン
小計①:7,250万ウォン
これに仁川市独自の以下の支援を追加するというのです。
子供夢手当:1,980万ウォン(8~18歳 15万ウォン/月
妊婦交通費:50万ウォン
小計②:2,870万ウォン
上掲の①と②を足すと「1億120万ウォン」となります。
劉正福(ユ・ジョンボク)市長による、なかなか剛毅な提言ですが、これには仁川市の合計特殊出生率が低いという背景があります。先にご紹介しましたが、以下の「韓国の都市別合計特殊出生率」の表組をご覧ください。
上掲のとおり、2023年第3四半期時点で仁川市の合計特殊出生率は「0.66」しかありません。
ソウルの「0.54」が最低で、釜山「0.64」に次いで、光州と同値。下から3番目なのです。
問題は、お金を積んでも合計特殊出生率が回復するか?です。
『韓国銀行』がリポートに書いているとおり、韓国で出生率が回復しないのは、あまりに厳しい競争社会であること、未来に期待が持てないことなど、短期的なお金で解決するような理由ではないのです。
韓国の若者は自身の未来、自分の子供の未来が不安なのです。
しかし、それでもやらないよりはいいです。躊躇している間にも真っ暗な未来へと進んで行きます。
文在寅政権時のような「学校をデジタル化することも少子化対策だよね」と言い張る「謎施策」よりはるかにマシです。「お金出しますからお願いしますよ」で直截です。
この仁川市の挑戦が本当に行われるのか、また結果が現れるのかにご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)