韓国は、借金の一部を免除しますという徳政令を行うことで有名ですが――これも一種の徳政令です。
先にご紹介した「これまで行ってきた利払いの一部を還付します」が開始されています。2024年04月04日、韓国の金融委員会が、このヘンな徳政令の進捗状況を確認したリポートを出しました。
事業者に対する融資を受けた、小企業、また小商工人(個人事業主)が対象です。融資の利子が「5%以上7%未満」で、1年以上の利払いを継続した場合には、その利払い額の一部が還付されます。
ただし、最大受け取れる金額は「150万ウォン」と決められています。また、申請しないと還付は受けられません。
申請期間とスケジュールは以下のように決まっており、第1~4期まで予定されています。
第1期の申請期間は終わり、現在第2期に入っています。
問題は――金融委員会のこのリポートによると、第1期の申請によって、03月29日~04月12日の還付期間に給付されるのが「約16.2万人に対して、約1,163億ウォン」という点です。
これは予定金額「3,000億ウォン」の38.8%に当たります。
まだ2~4期残っているのに、予算の約4割を1期だけで使ってしまったわけです。
「お金は足りますか?」――です。
この事業の財源は『中小ベンチャー企業振興公団』から3,000億ウォンを持ってきて保全する仕組みです。簡単にいえば税金をまいているようなものです。
さらに、この「利払いのキャッシュバック」キャンペーンみたいな徳政令は他にもやっています。
金融委員会が説明しているので、以下に引きます。
(前略)
一方、政府と金融圏などは、中小金融圏小商工である利子支援事業のほか、小商工人の経済的負担緩和のために多様な支援プログラムを運営している。まず、銀行圏は個々の銀行が独自の財源を造成し、去る02月05日から約188万人の個人事業者に総額1.5兆ウォン規模の利子を払い戻してきたし、利子還付の他にも、自ら造成した合計6,000億ウォンのうち約2,000億ウォンを04月から小商工人の電気料・通信費支援、保証料支援などに執行していく計画だ。
そして、小商工人が低金利ローンに転換できるよう積極的に支援している。
最近7%以上の高金利借主を対象に信用保証基金低金利貸付貸出プログラムの対象・恩恵を強化する。
ご注目いただきたいのは、真ん中のブロック、「銀行圏は個々の銀行が独自の財源を造成し」です。
各銀行が純利益をからお金を出して財源を作り、それを利払いの還付金に充てているのです。その額はすでに1.5兆ウォンに達した――と述べています。
先にご紹介したとおり、「銀行は高金利で儲けたろうが!」という非難があることへの、政府の回答がこれです。
高金利で銀行が儲けることは当然。韓国では、そのもうけたお金をお金を借りた人に返せ――と強要し、実行しているのです。つまり、銀行は自分が集めた利払い金を返すことになっています。
韓国で銀行業を行うことは、一種「罰ゲーム」みたいなものです。
(吉田ハンチング@dcp)