韓国「不良債権」の泥沼。『セマウル金庫』上期「2.4兆の不良債権」売却した。

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韓国の「PF(プロジェクトファイナンス)問題」です。まだ片付いてなどいません。

要点を整理しましょう。

PF問題とは不動産開発に関わる「不良債権処理」に他なりません。ケンチャナヨ(まあエエやろ)精神とお金に対する強欲が現れた、実に韓国らしい「状況」です。

韓国のPF問題の概要とは?

不動産開発案件について、不動産会社がほとんど自己資金を使わず「大部分を借金でまかなう」という世界的にも他に類を見ない、強欲な方式を取ってきたのが原因です。

韓国「不動産PF」無茶苦茶な実態。3%しか自己資本なく97%は借金で回していた
韓国の不動産PF(プロエジェクトファイナンス)が無茶苦茶な実態であったというデータが出ました。2024年06月13日、『韓国経済研究院』(略称「KDI」)が非常に興味深い以下のような記事を出しました。記事の一部を以下に引用します。最近、不動...

上掲記事でご紹介したとおり、

直近3年間(2021~2023年)に推進された総額100兆ウォン規模のPF事業場300余りを調査したところ、施工会社は事業費のうち3%しか資金を投入しておらず、残りの97%は全部借入金でした。

『韓国経済研究院』のリポートによれば、そんな国は他にありません

詳細は上掲の先記事を参照していただきたいのですが、総事業費に対する自己資本比率はアメリカ合衆国で「33%」、日本では「30%」で「3%って……ばかなの? ビンボなの?」という話なのです。貸す方も貸す方で、やっぱり「バカなの?」です。

つまり、自分はわずかしか資金を投入しないで不動産開発を行い――開発が終了し、予定どおり物件が売れれば、利益はでかい――というわけです(借金は全部売上で返済できます)。

不動産市場が右肩上がりの場合には、この「小さな資金で大きな売上」商売がずっと続きますので笑いが止まらないのですが、市場が反転した場合には悲惨なことになります。

不動産開発プロジェクトに対する融資が軒並み返済不能になるのです。それでも物件が完成していればまだマシで、目論見が頓挫して中途で資金がショートしたりすると、物件は完成しない(売れない)で借金返済だけが残るという事態になります。

また、本PFにたどりつくまでのブリッジローン(つなぎ融資)の段階で計画が頓挫。融資の返済だけが残るという、実にばかな事態も発生しています。

貸した側からすれば、焦げ付き確実の不良債権に他なりません。これを放っておくと金融機関の健全性を揺るがす事態になりかねません。ですので、韓国金融当局が慌てて鎮火しなければならないのです。

――これが韓国のPF問題の概要です。

バランスシートの改善は重要だが……

銀行や金融機関、特に地方の『セマウル金庫』などは、これらのプロジェクトに多額の融資を行っており、その結果として大量の不良債権が発生しています。

この問題に対して韓国の金融当局や関連機関は、不良債権の売却や貸倒引当金の積み増しによって健全性の確保を図っていますが、これは根本的な解決策ではなく、むしろ応急処置的な対応です。

PFのリスクは高く、プロジェクトが成功すれば大きな利益をもたらす反面、市場が不調になると一気にリスクが顕在化します。

不良債権処理は、金融機関のバランスシートを改善するためには重要ですが、過剰な売却や引当金の積み増しは、短期的には損失を拡大させる可能性もあるのです。

『セマウル金庫』が上半期で2兆突っ込んでいた

で、今回の本題にいきます。

上掲のとおり、韓国の『セマウル金庫』はPFに多額の融資を行っており、これが非常に懸念される状況です。融資に対する延滞率も上昇しており(2024年03月時点で7%)、これを処理し軟着陸させねばなりません。

「7%」は異常な高率です。

2024年08月21日に『セマウル金庫中央会』が公表したデータによると、2024年上半期だけで2兆4,000億ウォン規模の不良債権の売却を行ったとのこと。同会は第3四半期に最低でも「1兆3,000億ウォン規模の不良債権売却を目指す」としています。

上記のとおり、金融機関が健全なバランスシートを取り戻すのは良いことですが、その分損失が確定します。つまり問題の『セマウル金庫』は、損失を拡大させているともいえるのです。

また貸倒引当金(損失に備えて積み立てておくお金)も必要で、そのため全国の『セマウル金庫』は6兆8,000億ウォンの貸倒引当金を積み立てており、そのうち1兆4,000億ウォンは2024年上半期に積まれました。

最近の2カ月間で積み立てられた貸倒引当金だけでも4,500億ウォンに達します。このお金も調達しないといけないのです。

――というわけで、韓国のPF問題は今も続いており、これも韓国経済を破裂させるかもしれない導火線の一つなのです。

(吉田ハンチング@dcp)

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