韓国航空産業にとって大きな事案ですので、『大韓航空』と『アシアナ航空』の合併については韓国メディアも連日大きく取り上げています。先の記事でご紹介したとおり、企業結合については「公正取引委員会」に申告して許可を得なければなりません。
今回の企業結合については、普通なら公取委も許可が出させるような話ではありません。寡占ともいうべき市場シェアを持つ企業が誕生するからです。
しかし、韓国政府、国策銀行『産業銀行』などから「許可を出せ」というプレッシャーがすでに相当かけられている、と見られます。
韓国メディア『毎日経済』の2020年11月22日の記事から一部を以下に引用します。
『大韓航空』と『アシアナ航空』の統合案件を控え、企業結合審査を務める公正取引委員会が水面下で検討に着手した。
(中略)
企業結合審査の公式手順は、申告書が提出された後に開始されるが、その前に基本的な状況の把握などの内部検討に入ったのだ。
(後略)⇒参照・引用元:『毎日経済』「公取委、大韓航空・アシアナ結合水面下のレビュー…消費者の影響に注目」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
という具合で、申告書が提出される前に動き始めました。
(前略)
企業結合申告書は韓進グループの『アシアナ航空』の買収作業が終わる来年上半期に提出されるものと予想される。申告書を受け取ると、公取委は両社のシェアや市場集中度のほか、路線ごとに外国の航空会社などの競争事業者が十分かどうか、新規事業者の参入の可能性をもとに合併による消費者被害との競争制限を分析する。
(後略)
このように、
と予測されており、申告するまでにも時間がかかりそうですが、あらかじめ調査を終えて「結論ありき」にしておけば迅速に「Go!」を出せます。
もちろん、先にご紹介したとおり『イースター航空』のときと同様に「再生不可能な企業ですから」という例外適用も進められるでしょう。
実はこのM&Aは世界的に見て「無理スジ」です!
韓国としては航空会社を生き残らせるために、今回のM&A(合併と買収)はどうしてもやり遂げないといけません。しかし、実はこのM&Aが行われると、世界的には常識に反した例となります。
のです。これは、今回の旗振り役『産業銀行』のチェ・デヒョン金融部門副頭取も記者とのオンライン懇談会で認めています。『毎日経済』でも、アメリカ合衆国司法省による、
という分析を引用しています。
というわけで、韓国が『大韓航空』と『アシアナ航空』のM&Aをやり遂げたら、公正な市場競争を考えなかった世界的にも珍しい例になるでしょう。「法治国家ではない。情治国家(あるいは人治国家)である」と批判される国らしい、ともいるのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)