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中国政府が「いい雰囲気にしよう」という驚愕の意見

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Money1でもご紹介してきたとおり、中国では大変な雇用難に陥っています。日本では時給を上げても雇用できない、人手不足ですが、中国の様相は真逆。

経済が超低空飛行なのでそもそも雇用がなく、あっても給与が低い、現在職に就けている人も給与カット・ボーナスなしといった目に遭っています。

若者に職がないのは本当に悲惨なことで「大学卒業、即失業」が常態化しており、若者がより良い未来、より良い人生を思い描けなくなっているのです。


データ出典:『中国 国家統計局』

中国統計局のデータは雇用情勢の実態を反映しているとは思えませんが(実態を糊塗していると考えられます)、それでも上掲のとおり都市部の若い世代の失業率は、直近で急騰しています。

都市部でぶらぶらしている若者が増加すると、これは社会不安を醸成します(もう醸成されている)。若者が束になって中国共産党に歯向かうような事態になると困るので、なんとかしないといけません。

中国共産党の「雇用を増やそうよ」文書

2024年09月15日、中国の国務院は興味深い文書を出しています。

タイトルは「中共中央 国务院关于实施就业优先战略促进高质量充分就业的意见」(中共中央 国務院による「雇用優先戦略の実施と高品質で十分な雇用の促進に関する意見」)です。

雇用は最も基本的な生計手段であり、国民の重大な利益、経済社会の健全な発展、国の長期的な安定に関係する。

雇用優先戦略を実行し、質の高い完全雇用を促進するため、以下の意見を提出する。
(後略)

⇒参照・引用元:『中国 国務院』公式サイト「中共中央 国务院关于实施就业优先战略促进高质量充分就业的意见」

「国の長期的な安定に関係する」と述べていますが、これは「中国共産党の長期的な安定に関係する」の間違いでしょう。

これがまた白髪三千丈式のダラダラと長い文章で綴られており、ウンザリするのですが、24条の項目のタイトル部分だけ以下に抜き出してみます(面倒くさい人は次の小見出しまで飛ばしても大丈夫です)。

(前略)
2. 経済社会開発と雇用促進との連携を促進する

(1)雇用のマクロ管理の優先志向を強化する
(2)現代産業システムの雇用相乗効果を強化する
(3)さまざまな企業の地位の安定と拡大を支援する
(4)地域協調開発による雇用収容力を強化する
(5)雇用拡大と質向上の新たな原動力を育成する

3. 構造的雇用紛争の解決に向けた取り組み

(6)教育の供給と人材の需要のマッチングを改善する
(7)生涯職業能力訓練制度の充実を図る
(8)熟練した人材の育成チャンネルを拡大する

4. 重点層への就職支援体制の充実

(9)大卒者やその他の若者の就職ルートを拡大する
(10)退役軍人の雇用サービスを確保する
(11)農村労働力の雇用と所得増加の余地を拡大する
(12)困窮者に対する就労支援制度を充実させる
(13)自営業に対する柔軟な雇用保障制度を最適化する

5. 的確かつ効率的な雇用公務員制度の整備

(14)全国民を対象とした雇用公務員制度を改善する
(15)草の根志向の雇用公共サービスの基盤を強化する
(16)デジタルに権限を与えられた雇用公共サービスモデルを促進する

6. 労働者の雇用の権利と利益の保護レベルを向上させる

(17)平等な雇用の権利を確保する
(18)労働報酬の合理的な増加を促進する
(19)調和のとれた労使関係を構築します
(20)社会保障適用範囲を拡大する

法に基づいて雇用主と従業員の社会保険加入を促進し、柔軟な雇用要員、移民労働者、新たな雇用形態を持つ人々に対する社会保障制度を改善し、勤務先での保険加入の戸籍制限を包括的に撤廃する。専門労働者に対する失業保険、労働災害保険、住宅積立金の広範囲な適用を促進する。雇用、失業保険、最低生活保障の連携メカニズムを改善し、規定に従って失業保険給付を実施し、階層的かつ分類さ​​れた社会扶助を提供し、生活手当の段階的撤回期間と雇用コストの規制を調整・改善する。控除。

7. 質の高い完全雇用を促進するために共同の努力を結集する

(21)組織のリーダーシップを強化する
(22)サポートと保証を強化する
(23)重大なリスクを予防し、解決する

。質の高い完全雇用統計監視システムを確立・改善し、雇用調査システムを確立し、質の高い完全雇用評価を適時に実施する。大規模な失業リスクの予防と解決のためのメカニズムを改善し、監視と早期警告、責任準備金、緊急対応を強化し、条件が許せば、雇用分野における重大なリスクに適切に対処するために雇用リスク準備金を設定することができる。人工知能などの新興テクノロジーの急速な発展が雇用に与える影響に積極的に対応します。

(24)良い雰囲気を作る

若者の雇用をなんとかしたい!

まあ見事にお題目ばかりを並べたものですが、それぞれの項目の中身も実に空疎なものです。「こういうことを行いたいですね」ぐらいのもので、具体的に雇用が良くなるようなものではありません。

例えば「9」に「大卒者やその他の若者の就職ルートを拡大する」という項目がありますが、以下のように書いています。

市場志向の雇用を促進し、賃金、専門職の評価、訓練およびさらなる教育政策を改善し、学んだことを最大限に発揮するのに役立つより多くの仕事を開発し、若者が重要な分野で雇用と起業家精神を発揮した仕事に従事することを奨励する。

条件が許せば、郡や郡区の中小・零細企業に就職する大卒者に対する政策支援を増やすことができる。

青少年雇用サービスの有効性を向上させ、的を絞ったキャリアガイダンス、仕事紹介、スキルトレーニング、インターンシップを強化し、学内と学外を結び付けて成長と成功を支援するサービスサポートを形成します。

恵まれない家庭の卒業生や長期失業中の若者に対する就職支援を強化するため、「若者就職スタート」や「アンビション・エイド」などの特別プログラムを実施し、早期の就職と社会への統合を促進します。

海外留学から帰国した人が雇用や起業に関する政策やサービスを平等に享受できるよう支援します。

「学んだことを最大限に発揮するのに役立つより多くの仕事を開発」なんて書いていますが、海外で知識レベルの高い教育を受けた留学生が帰国しても、就職できなのが現在の中国です。

ネット上には「親や親戚から何をしに海外に行っていたの?」と言われる――という若者の嘆きの動画をあまた見つけることができます。

自分が高等教育で学んだことが生かせるような職業に就けないのみならず、せめて生きていけるだけ稼げる仕事を見つけるのすら難しいという現状なのです。何を言っているのでしょうか。

また、「起業家精神」うんぬんに至っては、要するに自分で起業すればいいじゃない!――という無責任な提言にも見えます。

そもそも「仕事がない」んだってば!

「12」に「困窮者に対する就労支援制度を充実させる」とありますが、以下のように説明されています。

高齢者、障害者、長期失業者などの雇用困難なグループに対する支援を強化し、合理的な基準で雇用困難者を認定し、その基準を動的に調整する。

雇用困難者を迅速に発見し、優先的にサービスを提供し、精度の高い支援を行い、動的な管理を行うための雇用支援制度を整備する。

企業が雇用を創出し、自主的に起業することを奨励・支援し、公益的な職を活用して、無職世帯をゼロにするよう努める。

高齢者に適した多様で個別化された雇用ポジションを創出し、就職支援やスキル訓練などのサービスを強化する。

法定退職年齢を超えた労働者を雇用する事業者は、労働者が労働報酬、労働安全衛生の保護、労働災害保障などの基本的な権利を法的に保障されるようにし、必要に応じて社会保険に参加することを支援する。

就業困難者に対して、就業するための支援を行うというのですが、現在中国で起こっているのは、マッチングの齟齬とか、就業希望者を仕事に導くためのパスがない――ではないのです。

そもそも「仕事がない」のですから、パスだけ作っても無駄で全く意味がありません。

また、ここでも「自主的に起業することを奨励・支援」と書いていますが、これは要するに「自分で仕事をつくれや!」ではないのかと邪推したくなります。

「良い雰囲気を作ろう」という傑作な提言

最後の「良い雰囲気を作る」も傑作で、

集中的な雇用促進と技能広報活動をタイムリーに実施し、政策の宣伝と解釈を強化し、典型的な経験と実施結果をタイムリーに要約して宣伝し、世論の指導を強化し、社会全体が雇用を気遣い、支援する良好な雰囲気の形成を促進する。

と書いてあります。

中国社会では貧困、明日が見えない不景気によって、もう何も怖くないという「無敵の人」が増加。陰惨な事件が多発しており、雰囲気は最悪です。

しかし、このような社会になったのは中国共産党がいるからです。中国共産党のこのような意見によって中国社会の雰囲気が良くなることはありません。

中国社会が良い雰囲気になるためには「アンタ(中国共産党)がいては駄目」なのです。

(吉田ハンチング@dcp)

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