「死神『IMF』が韓国のコロナ対応を評価」と喜ぶが「韓国は山また山」と書いてある

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2021年04月30日、韓国企画財政部は「IMF、韓国政府のコロナ対応方針を肯定評価」というプレスリリースを出しました。

これは、しばしば韓国で死神と呼ばれ恐れられる『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)が、韓国のコロナ禍への対応を高評価したリポートを出した――と紹介するものです。

韓国企画財政部のプレスリリースでは、『IMF』のリポート内容をフェアに要約しており、漏れはありません。しかし、同リポートはコロナ禍への対応方針を肯定的に評価しただけではないのです。


↑『IMF』のオリジナルリポート

そもそも『IMF』のリポートのタイトルが、

Mountains after Mountains: Korea is Containing COVID-19 and Looking Ahead

山また山。韓国はCOVID-19を封じ込め、先を見据える

というもの。「山また山」と書いてあるとおり、「コロナ禍はうまく乗り越えられるかもしれないが、次の問題が迫っているよ――と告げているのです。

このリポートは、企画財政部が思わずプレスリリースを出したくなるほど、韓国の施策を肯定的に見えるように紹介してあるのですが、そこにはある種の毒が含まれています。

例えば、以下のような箇所です。

(前略)
However, the Korean proverb ‘mountains after mountains’ serves as a reminder about how challenges always lie ahead. Korean household debt is among the highest in the OECD at over 190 percent of disposable income, a significant portion of which is secured by real estate. In addition, around half of the total stock of SME bank credit (around 22 percent of GDP) has been extended to firms with earnings that are insufficient to cover interest payments. Lending has grown quickly across all sectors since the pandemic outbreak, pushing credit as a percent of GDP further above its trend value.

しかし、韓国のことわざ「山の後に山」は、常に課題が待ち受けていることを思い出させる。

韓国の家計債務はOECDで最も高く、可処分所得の190%以上であり、その大部分は不動産によって担保されている。

また、中小企業向け銀行融資の総ストック(GDPの約22%)の約半分は、利払いを賄うには不十分な収益の企業に融資されている。

パンデミックの発生以降、全てのセクターで融資が急速に増加し、GDPに対する融資の割合はトレンド値をはるかに上回っている。
(後略)

家計負債の増加とゾンビ企業の増加、全てのセクターで融資残高が急騰(債務の急増)していることへの対応を行わなければならない、といっています。

また、以下の指摘も注目に値します。

(前略)
Korea has a track record of exceptional economic growth, but the improvement in living standards has slowed in recent decades and productivity remains below advanced-economy peers.

韓国は並外れた経済成長の実績があるが、生活水準の向上はここ数十年で鈍化しており、生産性は先進国の同業他社を下回っている
(後略)

かつての急成長をほめながらも現状の問題点を指摘しています。また、

上掲のリポートから引用したグラフは、韓国が経済的成長を続けるための「投資・労働力の確保・生産性の全てが弱まり続けている」ことを示しています。

というわけで、韓国のコロナ対応を肯定評価したような『IMF』のリポートですが、その中身は韓国の痛いところを突いたものでもあります。

次の山はどうやって越えるの?」と問うているのです。

(吉田ハンチング@dcp)

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