韓国の2022年度の最低賃金を巡る経営側と労組側の戦いが熱くなってきました。告示が2021年08月05日ですので、07月中旬には議決されていなければなりません。
23.9%アップ「1万800ウォン」 vs 凍結「8,720ウォン」
2021年06月29日、最低賃金を決める第6回「最低賃金委員会」が開催されました。
労働者委員は「1万800ウォン」(約1,058円)を主張しましたが、一方の経営者委員は「8,720ウォン」(約855円)と2021年度と同じ金額を提示しました。
↑何度も出して申し訳ありませんが2017~2021年の最低賃金の推移です
先にご紹介したとおり、経営者委員としては仮に1万ウォンを超えた場合、人件費の重みに耐えかねる事業主が多数出ることが予想されるため必死であると思われます。
業種別に最低賃金を設けることはまかりならぬ
今回の最低賃金委員会では、重要な決定がされました。
「業種別最低賃金の区分」が否決されたのです。
これは経営者側からの要望で、これが通れば、例えば製造業ではこれだけ、サービス業ではこれだけなどと労働強度による区分、あるいは個人事業主の多い業種では最低賃金をあまり高くしないようにしよう、といったことが可能だったのですが――多数決によって採用されませんでした。
賛成:11
反対:15
棄権:1
本件を報じた『亜州経済(韓国版)』によれば、経営者委員は「最低賃金の支払い主体である個人事業主と零細・中小企業の支払い能力が限界に直面している」と訴えましたが、労働者委員は「最低賃金は低賃金労働者を保護するための趣旨であり、区分適用はそぐわない。経営者側の要求は時間稼ぎに過ぎない」と批判したとのこと。
労働者委員の区分適用はそぐわない、は確かに一理ありますが、しかし実際にその最低賃金を支払えない個人事業主・零細中小企業が従業員を解雇し、雇用が減少したことは厳然たる事実なのです。
今また無茶な最低賃金上昇を行えば、先にご紹介したとおり、韓国の雇用環境は一気に冷え込むかもしれません。特に若い世代での雇用が減少すると予想されます。
いよいよ正念場です。
(吉田ハンチング@dcp)