韓国はローカルカレンシーの国なので「まだ借金しても大丈夫」と考えてはいけない

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政府債務の激増は文大統領の意思です

韓国では文在寅政権下で政府債務が異常な速度で増えました。前朴槿恵政権までは、政府債務の対GDP比率は40.1%に過ぎませんでした(D2基準:2017年)。

それが文政権が終わる2022年には「57.2%」になります(同D2基準)。文大統領は5年で借金を対GDP比で17.1%も増やしたのです。

これは、文政権下で財政準則(守らなければならない財政上のルール)が機能しなかったことを意味しています。

これまでは(D1基準で)政府債務は「40%まで」という暗黙の了解があったのですが、文大統領の「なぜそう決まっているのか」「OECD各国と比較しても韓国はまだ低い方だ」というひと声で破られ、拡大を続けたことが原因です(韓国メディアによる報道あり)。

つまり、将来において韓国に政府債務によるドボンが発生した場合には、まず文大統領にその責任を求めることが可能です。コロナ前から政府債務を増やしていたのですから(事実です)。

どこまで政府債務を増やして大丈夫かは国によって異なりますし、財政準則もさまざまですが、韓国の政界には「まだいける」と公言する人がいます。

例えば、次期大統領候補である与党『共に民主党』の李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事などはその代表格です。韓国政府の発行する国債で借金が増えても、国債を韓国人が買っている間は大丈夫だ――といった発言をしています。

韓国の場合は、そうなってないから問題なのです(企画財政部の公表資料によれば韓国債の約16.7%は外国人が買っています)。

また、だから経済危機にならないかというと、それはそれで別問題です。例えば、2008-2009年の韓国通貨危機時には外国人の国債保有比率は「2008年:8.4%」「2009年:9.8%」でした。

国債で外国人からの借金が増えているので過去の経済危機時よりも脆弱になったということだってできます。

ともかく、韓国の政府債務はまだ大丈夫という政治家がいることは確かです。このような主張に対して、韓国メディア『韓国経済』にその考えは甘いよ、という記事が出ています。

興味深い内容なので、以下に記事の一部を引用します。主旨としては「韓国はハードカレンシーを持つ国ではないので、先進国の政府債務と単純比較してはいけないよ」です。

(前略)
軽々に韓国の政府債務の水準と先進国の政府債務を単純比較し、まだ借金を重ねてお金を緩めてもよいという政治家の声が聞こえてくる。

比較対象国が基軸通貨国(原文ママ:筆者注)であれば、それらの国と私たちの政府債務を同じ基準で比較することは妥当ではない。

(中略)

私たちは、IMF外国為替危機当時、外貨不足の事態に文字どおり国難レベルの被害を受けた。

私たちの貨幣が基軸通貨(原文ママ:同上)ではなく、海外の負債を韓国の通貨で支払うことができずに外貨が急速に流出したからである。

経済危機の際、アメリカ合衆国EU日本のような基軸通貨国(原文ママ:同上)は自国通貨で外国の負債を返済することができるので、財政危機が通貨危機に発展しない。

(中略)

ところが、韓国のように経済の対外依存度が高い中堅国は、外部からの衝撃に弱い。財政赤字が拡大し、国際収支まで赤字になれば、韓国が財政赤字と国際収支の赤字という双子の赤字に陥って困難を経験することになるだろう。

(中略)

従って、韓国の政府債務を基軸通貨国(原文ママ:同上)のような先進国と同じレベルで比較する愚を犯してはならない
(後略)

⇒参照・引用元:『韓国経済』
赤アンダーライン、強調文字は筆者による

要点を押さえた指摘ではないでしょうか。政府債務がさらに拡大するのか、また韓国政府が困ったことにならないのかに要注目です。

(柏ケミカル@dcp)

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