「韓国政府のあまりの妄想」に韓国メディアからも猛烈批判。「日本の製鉄技術」をなめないでください

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韓国政府が2021年10月18日に公表した「2050年カーボンニュートラル」シナリオがあまりにも「お花畑の内容」でしたので、Money1でいささか表現のきつい記事を公開しましたが、韓国メディアからも政府シナリオを批判する記事が次々と出ています。

例えば、『韓国経済』は「技術もないし、かかるコストも計算していない」とケチョンケチョンにけなす記事を出しています。

記事の中で注目したいのは、製鉄に関する言及です。

以下に記事の一部を引用します。

(前略)
鉄鋼業界の温室効果ガス削減の手段として、政府が水素還元製鉄技術を提示したことも無責任だという指摘が出ている。

石炭ではなく、水素で鉄鋼を生産する水素還元製鉄技術は、『ポスコ』が世界で最も進んだ技術力を保有しているが、その『ポスコ』でさえ技術の開発目標時点が2040年である。

たとえ正常に技術を開発しても、既存高炉9基を水素還元製鉄技術に変えるために、40兆ウォンかかると、『ポスコ』は推定している。

3基の高炉を保有している『現代製鉄』まで合わせると、合計68兆ウォンがかかる見通しだ。
(後略)

⇒参照・引用元:『韓国経済』

韓国政府は現在実用化されていない技術「水素還元製鉄」を使うなどと勝手に言及し、コストも考えてはないことに驚きます。

記事にも書かれているとおり、水素還元製鉄の実現はそんな簡単にできるものではありません。

「水素還元製鉄」とは?

鉄の原料は鉄鉱石です。鉄鉱石の鉄は酸素と結び付いた酸化鉄の状態で存在します。つまり酸素を取り除いて「鉄」を取り出す過程がどうしても必要で、これが「還元」です。

現在ではコークス(石炭を蒸し焼きにして炭素濃度を高めたもの)が還元材として使われています。

製鉄の高炉からなぜ大量の二酸化炭素が排出されるかというと、以下のような工程を経るからです。

高炉上部からコークス焼結鉱を投入

高炉下部から1,000~1,200度の熱風を送る

コークスが燃えて還元ガスが吹き上がり焼結鉱を溶かす
(この際に酸素が奪われ鉄が生まれる)

還元ガスに含まれる一酸化炭素(CO)と酸化鉄から奪われた酸素(O)が結び付いてCO2(二酸化炭素)が発生する

焼結鉱とは、粉末状にした鉄鉱石に石灰石を混ぜて焼き固めた鉄の原料です。

この鉄(銑鉄)を生み出すための還元の工程で水素を使うのが「水素還元製鉄」です。

水素を使うと水素(H2)と鉄鋼石から奪われた酸素が結び付くので水(H2O)となり二酸化炭素の排出量を減らすことができるというわけです。ただし、化学式はそうでも実際に行うのは簡単ではありません。

まずは、現在の還元材コークスの一部を水素に肩代わりさせることから開発が行われています。

「日本の製鉄技術をなめるなよ!」と言いたいところ

記事では「『ポスコ』が世界で最も進んだ技術力を保有している」なんて書いていますが、とんでもない話で、日本の『日本製鉄』こそトップランナーです。

『新日鐵住金』時代の「COURSE50』プロジェクト・フェーズI-STEP1(2008~2012年度)で水素による鉄鉱石還元と高炉ガスによる二酸化炭素の分離・回収の基礎技術を開発。

STEP2(2013~2017年度)では基礎技術を基にした総合技術の開発を行い、2018年には試験高炉における二酸化炭素削減目標10%を達成。地道にコツコツ成果を積み上げています。

2018年度からはフェーズIIに入り、試験炉から実機確認に入っており、2030年ごろまでに(経済的合理性を確認の上)1号機の導入、2050年までに実用化、普及という計画なのです。

2020年12月23日には、麻生財務大臣(当時)が、『日本製鉄』の東日本製鉄所君津地区で実施している「COURSE50プロジェクト」の現場(試験高炉及びCO2分離回収設備)を視察されています。

「日本の製鉄技術をなめんなよ」と言いたいところです。

とにかく全部丸投げな文政権

というわけで、韓国政府が出した「2050カーボンニュートラル」のシナリオは、自国の製鉄企業にも寝耳に水なことを勝手に書いており、恐らくコストの計算など微塵もしていないのです。

こういうふうに決めたのであとは皆さんによろしくという、丸投げ状態でいかにも文政権らしいやり口です。

先にご紹介したとおり、「K-半導体」しかり、「K-バッテリー」しかり、「ワクチンハブ構想」など全部同じです。

先に勝手な構想をぶち上げてあとは企業に丸投げするのです。

もちろん次の大統領がこのような非現実的な計画を受け継ぐかどうかによりますが、恐らく韓国のエネルギーインフラ政策は無茶苦茶になるでしょう。

このような大統領を選んだのは国民ですので全く同情はできませんが。

(吉田ハンチング@dcp)

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