『ハーバード大学』ケネディスクール『ベルファーセンター』(Belfer Center for Science and International Affairs, Harvard Kennedy School)が、2022年「National Cyber Power Index 2022(ナショナルサイバーパワーランキング インデックス 2022)」を公表しました。
これは、その国が国家目標に対してどのくらいのサイバーパワーを持っているのかを評価した指標です。
エリック・ローセンバッハ(Eric Rosenbach)共同センター長は「読者への注意」で以下のように述べていらっしゃいます。
(前略)
国家がサイバーパワーを活用するためには、国家を挙げての取り組みが必要である。国家政府は、破壊的な作戦やスパイ活動、サイバー耐性の強化のみならず、よその国の監視、情報統制、技術競争、金銭的動機といったものの効果にも気を配らねばならない。それらは規範や標準化を通じて、何が許容され、何が可能かが形作られる。
(後略)出典:『ハーバード大学ケネディスクール ベルファーセンター』公式サイト「National Cyber Power Index 2022」
国家政府のサイバーパワーは、何ができるかを示す基準や規範によって規定され、制限を受ける。その上で「何ができるか」だ――と言っています。
もっともなお話で、「NCPI」の評価には「Surveillance(監視)」「Defence(防衛)」などの他に「基準・規範」が入っています。また、この評価はあくまでも公的に入できる情報に基づいたもので、ウラで何をやっているのかについては評価されていません。
ともあれ、2022年のNCPIのランキングは以下のようになりました。
2022年のサイバーパワーランキング
第1位:アメリカ合衆国
第2位:中国
第3位:ロシア
第4位:イギリス
第5位:オーストラリア
第6位:オランダ
第7位:韓国
第8位:ベトナム
第9位:フランス
第10位:イラン出典:『ハーバード大学ケネディスクール ベルファーセンター』公式サイト「National Cyber Power Index 2022」
韓国のメディアがうれしそうなのは、2020年には第8位だった日本が2022年にはTop10から姿を消したからのようです。
以下をご覧ください。
↑2020年には日本は第8位に入っていました。2022年には日本はTop10内から消えて、第7位に韓国が入っています。「ROk」はRepublic Of Koreaの略です。出典:『ハーバード大学ケネディスクール ベルファーセンター』公式サイト「National Cyber Power Index 2022」
各項目について、どのように評価されたかを示すレーダーチャートを見ると、日本は以下のようになっています。
各項目の評価は確かによろしくありません。ちなみに、世界で最もサイバーパワーを有すると評価されたアメリカ合衆国のレーダーチャートは以下のようになっています。
※その国の国家目標に対してどのくらいのサイバーパワーを有しているかを表しているので、絶対値だと誤解しないでください。
韓国は以下のようになっています。
確かに日本よりはレーダーチャートの面積が広いですので、韓国は国家目標に対して日本よりもサイバーパワーが充実していることがわかります。
ただ、このNCPIではあくまでも国家目標に対するサイバーパワーの相対評価ですので、日本が韓国と比較して絶対的にサイバーパワーが劣っていることを示すものではありません。
例えば、上掲の合衆国ですが、「合衆国のdefenceがこんなに弱いわけないだろ」と思われるかもしれませんが、合衆国は守らなければならないものが非常に多くて国家目標が高く、相対評価としてのサイバーパワーが低くなっていると考えられるのです。
絶対的評価で合衆国のderfenceサイバーパワーを評価したら、恐らく太刀打ちできるのは限られた国だけでしょう。
それってハッキン……
一カ国、非常に面白い評価の国があるのです。
北朝鮮(DPRK)です。以下をご覧ください。
Finannce(金融)の国家目標に対してのサイバーパワーが突出しています。
「それって……暗号資産取引所に対するハッキングとかじゃないのか」と思わされますが、このようにある国家目標に対してだけ異様に協力なサイバーパワーを有する国もあるわけです。
それにしても、日本はもう少し国家目標に対するサイバーパワーを上げる必要があるようです。
(吉田ハンチング@dcp)