韓国の尹錫悦（ユン・ソギョル）大統領は、前文在寅大統領と異なり、親米に舵を切りました。しかし、これは中国との軋轢を生む方向です。
2023年03月14日、中国の定例記者ブリーフィングで興味深い一幕があったのでご紹介します。
韓国文化放送（MBC）記者：
中国が試験的に行うアウトバウンドグループツアーの対象国60カ国を発表したが、韓国はリストに含まれていない。アメリカ合衆国や、最近中国と摩擦のあった日本、ドイツ、オーストラリアなどの国もリストから除外されている。
韓国は特に中国人のアウトバウンドグループツアーの人気国だった。
中国が韓国への団体旅行を自由化しないのは、防疫のためというより、政治的・外交的な理由であるという報道もある。これについて、中国側はどう考えているのでしょうか。
汪文斌：
少し前に、一部の国で中国人のアウトバウンドグループツアーを試験的に再開しましたが、全体的に実施状況は良好でした。最近、中国の疫病状況が安定し、国民の間でアウトバウンド観光の需要が高まり、多くの国が中国人観光客の到着を心待ちにしています。
これに関連して、中国は03月15日以降、国民を対象とした試験的なアウトバウンド団体旅行の範囲を拡大し、アウトバウンド観光に有利な条件をさらに整えることを決定しました。
当局は、観光企業が思慮深く実施内容を整理するよう引き続き指導していきます。
同時に、観光客が旅行前に自己の健康状態をよく把握し、海外滞在中の安全と保護に注意を払い、わが国と現地の防疫要件を厳格に遵守し、健康、安全、文明的な方法で旅行することも希望します。
特定の国については、所轄官庁が発表する情報に留意してください。
01月08日に中国人と外国人の移動に関する暫定措置が実施されて以来、中国人の出入国者数は大幅に増加し、国際線も順調に伸び、人の移動がより便利になりました。
中国人の出国団体旅行を試験的に再開し、関連国から中国に来る人の遠隔検査対策を最適化し、核酸検査の代わりに搭乗前の抗原検査を許可するなど、順調に実施され、流行のリスクはおおむね抑制されています。
中国は、科学的評価に基づき、実情に照らして、中国人と外国人の安全で健康的かつ秩序ある移動のために、より良い手配を続けていくでしょう。
また、すべての関係者が中国と共に、中国人と外国人の移動に有利な条件を作り出すことを希望します。
韓国記者が、中国が行うとしたアウトバウンドグループツアーの対象国、60カ国に「韓国が含まれていないじゃないか」という怒り（あるいは不安？）を中国報道官にぶつけました。
この記者の「特に韓国は中国人に人気」という発言は注目ポイントですが、続けて「韓国が外されたのは政治的な意図ではないのか」として報道官に詰め寄りました。
これに対する汪文斌報道官の回答は傑作です。
「多くの国が中国人観光客の到着を心待ちにしています」とまるで「残念でしたね」みたいな発言をしています。
「当局は、観光企業が思慮深く実施内容を整理するよう引き続き指導していきます」というのは、観光企業が好きにはできない、という意味ですから、このようなツアーが政府の完全な管理化にあると言っています。
さらには「特定の国については、所轄官庁が発表する情報に留意してください」と木で鼻をくくるような言葉を続け、まともに質問には答えませんでした。
質問するまでもなく、中国の措置は明らかに政治的な意図によるものです。
「中国は韓国を向こう側とみなすけどいいのか？」という政治的な揺さぶりに他なりません。
さあ韓国側はどうするでしょう。動揺して中国に詫びを入れることになるでしょうか。
（吉田ハンチング＠ｄｃｐ）
