アメリカ合衆国と北朝鮮の会談が不調に終わり、北朝鮮はまた恫喝外交に戻る気配を見せています。対する合衆国側は粘り強く交渉を続ける姿勢をアピールしていますが、これが武力行使も辞さないとなる可能性もあります。
対イラン・北朝鮮強硬派であり、北朝鮮から「人間のクズ」とまで罵られ嫌われたジョン・ボルトンさんが安全保障問題担当大統領補佐官を解任されましたので、北朝鮮に対しての武力行使はないのではないかという安心感があるかもしれません。
ボルトンさんの後任、ロバート・オブライエン(Robert C. O’Brien)さんは穏健な実務派として知られていますしね。
しかし、安全保障問題担当大統領補佐官を補佐する「アジア担当」のマシュー・ポッティンガー(Matthew Pottinger)さんが、なかなかの人物なのです。
ジャーナリストであり海兵隊出身という凄腕
ポッティンガーさんは、ジャーナリストとして活躍していたという異色の経歴の持ち主で、『ロイター』『ウォールストリートジャーナル』という一級紙で記事を書き、ピューリッツアー賞候補になったこともあります。
特筆すべきは、北京在住の経験があるため中国語(北京語)に堪能で、中国政府の汚職を暴く記事の取材中に(政府の指示によるものと思われる)暴漢に襲われたことがあるという点です。また、中国研究について学士号も持っています。
彼はこの後、ジャーナリストを辞し、2005年「海兵隊」に入隊します。担当はインテリジェンス。情報担当官ですが、イラク、アフガニスタンへの派兵経験もあります。現在は除隊していますが、予備役で階級は少佐(major)です。
このように、ポッティンガーさんは、中国事情に精通し、軍事についても明るいという人です。実は、彼は2018年に「『北朝鮮を爆撃することが中間選挙に役立つ』と発言した」と報じられたことがあるのです。
オブライエンさんだから合衆国が軟化したと見るのは早計に過ぎるのではないでしょうか。合衆国の「対アジア」安全保障問題について、このような人物が脇を固めている事実を見逃してはなりません。
(柏ケミカル@dcp)