中国の地方債務は巨額債務を抱え首が回らなくなっています。
もはやどうしようもないところまできていますが、それでも中国共産党は軟着陸を目指して(恐らく無駄な)努力を継続しています。
以下の記事でご紹介したとおり、財政相に決まった蓝佛安(藍仏安)さんが「無駄なお金は一元も使わない」と宣言しましたが、これなども「お金がない」と言っているのと同じです。
これまでは、地方政府がインフラ整備に巨額を投資してGDPを押し上げ「成長した、成長した」と連呼してきたのですが、結果どうなったのかというと「債務を増やすだけ」だったわけです。それにノッた建設業界はもはや枯死しようとしています。
合理的な判断がされなかったため、例えば、日本の新幹線の技術を丸パクリした高速鉄道を採算も取れないのに延伸し続けました。結果、もう二進も三進もいかなくなっています。狂気の沙汰という他ありません。
もはやお金が回らないので、地方政府が巨額をインフラに注ぎ込み、ただただ債務を増やすだけ――などという過去のようなことはできません。
中国共産党は地方政府にインフラプロジェクトの停止を命じました。
インフラプロジェクトを停止せよ!
これは外信『Reuters(ロイター)』が報じています。中国の国務院が最近、多額の負債を抱える地方政府に対し、完成が半分に満たないインフラプロジェクトの中止または延期を命じた――のです。
国務院が最も懸念しているのは、遼寧省、吉林省、貴州省、雲南省、天津市、重慶市などの省・市で、これらの地方政府に対し、財政安定へのリスクを最小限に抑えるため、債務リスクを低から中程度のレベルまで下げるよう全力を尽くすよう求めた――と報じています。
インフラプロジェクトに急きょストップがかけられた、という証拠もあります。
上掲のとおり、上海市浦東新区「金色中环发展带」(「ゴールデン中環開発ベルト」とでも訳すのでしょうか)建設委員会弁公室は、全てのプロジェクト(非公共福祉性のもの)を整理するため(いったん)停止するよう緊急通達を出しています。
このプロジェクトは、浦東新区第14次5カ年計画の中でも重点建設プロジェクトで、計画のための総投資額は6,240億人民元です※。これが停止されるというのは異常事態といっていいいでしょう。
※第14次5カ年計画期間中には3,440億元が投資される予定でした。
中国の地方政府は長い間、経済成長を促進するためのインフラ投資に依存しており、その歳入の多くは土地の売却によるものでした。しかし、住宅市場の低迷により地方政府の収入は減少し、成長を促進するためのインフラ投資はもちろん、多額の負債返済が不可能になってます。
しかし、インフラプロジェクトの停止は、当然GDPにマイナスの影響を与えます。
GDPというのは穴掘って埋めるだけでも増えますが、巨額赤字を垂れ流しても建設してきた高速鉄道などはその最たるもの。インフラ工事でGDPを増加させ、中国共産党上層部から褒めてもらおうという地方政府の目論見はもはや「おしまい」というわけです。
今回の停止によって債務増は抑えられるかもしれませんが、今度はお金が回らなくなります。
中国というのは、いわば政府の公共工事に出るお金で回ってきたという側面があります。インフラ建設をやめるとどうなるかというと、当然建設会社、またその裾野の業者などにお金がいかなくなります。仕事がなくなってお金が回らないわけですから、その先は見えています。
中国はもう本当にどうしようもないのです。
(吉田ハンチング@dcp)