韓国が恐れる「中国巨大造船企業」。韓国の造船業は凋落

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中国では不景気の左前が金融機関にも及び、銀行の統廃合が進んでいます。これについては長くて面倒な話になりますので別記事にします。

日本ではあまり話題になりませんが、実は造船業でも大きな合併作業が進行しており、これを「K造船は世界一」と誇る韓国が恐れています。安値の叩き合いになると、ダンピング上等の中国には勝てないからです。

現在すでに勝てなくなっています。

その上、韓国の造船業も安値で受注するので利益が出せなくなっています。造船受注のジャックポットと喜ぶ割に韓国の造船業界が盛り上がらないのはそのためです。

『中国船舶工業グループ』(CSSC)と『中国船舶重工業グループ』(CSIC)は、合併の最後の難関だった7つの子会社を統合する比率まで合意を終えました。

『CSSC』と『CSIS』は中国造船の最大手

まず、この2つの造船企業グループがどのようなものかをご紹介します。

●『中国船舶工業グループ』(CSSC)
中国船舶工業グループ(China State Shipbuilding Corporation:CSSC)は、主に商船や海洋装置の製造を担当している大手造船企業です。

1950年代に設立され、中国国内外の顧客向けに船舶を製造しており、商業用船舶から海洋装備、さらには軍用船まで幅広く手掛けています。

事業分野:
商船(貨物船、コンテナ船、タンカー)、海洋プラットフォーム、特殊船(豪華客船など)。

主な顧客:
中国国内の海運会社、国際的な海運業者。

CSSCは特に商船分野での技術力が強く、中国の造船業の発展に大きく寄与しています。また、国内外での船舶需要の増加に伴い、商業船の建造数でも世界トップクラスの実績を誇ります。

●『中国船舶重工業グループ』(CSIC)
中国船舶重工業グループ(China Shipbuilding Industry Corporation:CSIC)は、そもそも『CSSC』の兄弟会社として軍用船舶の製造を主に担ってきた企業です。

1999年に『CSSC』から分離され、特に軍艦や潜水艦といった海軍向けの船舶や装備を製造することに注力してきました。

事業分野:
軍艦、潜水艦、海洋兵器システム

主な顧客:
中国人民解放軍海軍をはじめとする軍事関連機関。

『CSIC』は中国の軍事技術の進展に大きく貢献しており、特に中国人民解放軍の海軍向けの最新鋭の軍艦や潜水艦の設計・建造を行っています。

また、軍用船舶に加え、油田向けの海洋プラットフォームなども手がけており、工業機械や特殊船の製造にも強みを持っています。

つまり、そもそも『CSIS』は『CSSC』の軍用船舶部門として分離した企業グループなのですが、これをまた合併しようというのです。

『CSSC』と『CSIC』は、長らく中国の造船業を二分してきましたが、2019年に合併の動きが始まり、2023年にほぼ合併が確定しました。この合併により、中国の造船業界におけるリソースの集中化が図られ、商業船と軍用船の製造を統合的に行う世界最大規模の造船企業が誕生することになるのです。

とても韓国が勝てるような規模ではなく世界最大!

合併が成った場合の、この中国企業の資産規模は4,000億元に達すると見られています。

ウォン建てにすると「約75兆ウォン」ですから、韓国最大の造船会社である『現代重工業』の(約17兆ウォン)の4.4倍もあるのです。

合併によって、売上高・船舶受注量も圧倒的な世界1位、世界造船史上最大の造船会社が誕生することになります。

韓国メディアが戦々恐々で報じるところによれば――新しく誕生する造船企業の年間営業利益の見通しは「1,000億元」で、「韓国内造船大手3社が最大の好況時に1年間に稼いだ営業利益の合計」の9倍に達する――とのこと。

約2兆ウォン。1,000億元は「約18兆ウォン」なので9倍になります。

もっともすでに造船市場における中国企業のシェアは以下のように圧倒的なものになっています。

2023年 中国企業のシェア
船舶建造量:50.2%
新規受注量:66.6%
建造残量:55.0%
データ出典『クラークソンリサーチ』/DWT基準

その意味では、すでに「K-造船は世界一」ではないのです。

「造船市場における」中国の過剰生産性の押し付けによって、韓国企業が割を食っている構図――と見ることもできます。

安値の叩き合いでは絶対に勝つことができず、特段先進的な技術などない韓国はもはや造船業でも二進も三進もいかなくなっています。韓国政府がメンツもあって存続させてきた韓国造船業はすでに斜陽産業であって、戻すことはできません。

韓国の造船産業をどうするか?

ではどうするか?――なのですが、特にいい手はありません。

そのため、韓国では「環境に優しい船」、中国がまだ韓国に追いついていない高度な運搬船に注力して付加価値の高い造船業を目指そう――などといっているのですが、具体的にな何をするのかがよく分かりません。

「自動航行船だ」「水素だ」などの掛け声は掛かっていますが……。

「韓国企業が中国企業対抗できるのか?」については、以下の3つの課題をクリアする必要があります。

1.価格競争からの脱却
韓国は、すでに価格競争では中国に太刀打ちできないことが明白であるため、低価格受注に依存するビジネスモデルからの脱却が急務です。

2.技術革新と付加価値の創出
「1」のために、韓国の造船企業は、高付加価値船や環境に優しい船舶技術などの分野で技術革新を進める必要があります。LNG運搬船やオフショアプラットフォームのような特殊分野での技術力を強化し、差別化を図ることが唯一の生き残る道です。

3.国際協力と規制強化
中国の低価格戦略に対抗するためには、国際協力や『WTO』通じた規制の強化が必要です。韓国は他国と連携して、中国のダンピング受注や不公正な競争行為を抑制するための措置を講じるべきです。

「1」と「2」は密接に関係して、そもそも韓国には売り物になるような先端技術などありません。ですから不可能です。

可能性があるのは「3」だけですが、これは中国の不当を国際社会に訴える行為ですから、政治的に韓国にはできません。「またTHAAD事態になるかも……」などと恐れている国には無理です。

ですから解決できません。

(吉田ハンチング@dcp)

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