ノートルダム大聖堂の修復がほぼ完了したというので、世界的に注目されています。
2019年04月15日、フランス・パリの世界遺産「ノートルダム大聖堂」(Notre-Dame de Paris)で火災が発生。尖塔や屋根の一部が焼失しました。
この大聖堂の建設は1163年に開始され、1345年頃に完成しました。およそ200年もかけて建設されたわけで、中世ヨーロッパの建築技術の粋を集めた建物です。
火災で被害を受けた際にはフランス国内外で「ノートルダムはフランスの魂」という声が上がり、すぐに復興が再開されました。しかし、実はこの大聖堂はフランス革命時にも被害受け、破壊の危機に直面したことがあります。宗教的な象徴であったので多くの彫像が破壊され、一時は倉庫として利用されたほどです。
19世紀初頭にはすっかり老朽化が進んでいましたが、あの『レ・ミゼラブル』で知られるヴィクトル・ユーゴー先生が『ノートルダム・ド・パリ』(1831年『ノートルダムのせむし男』)の影響で再び注目され、大規模な修復が行われました。
2019年の火事 ⇒ 2024年修復完了 ですから5年しか掛りませんでした。この背景には、修復のための資金が迅速に集まったことがあります。日本円にして1,100億円以上投じられた修復費用は世界150カ国からの寄付でまかなわれました。
面白いことに、修復には中国も参加しています。
中国の技術はノートルダム大聖堂修復に使われた
中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』の「誇らしい」という記事から一部を以下に引用してみます。
(前略)
2019年04月15日の大火災後、中国はフランスと大聖堂の修復に関する政府間協定を結んだ最初の国となり、中国の専門家が修復プロジェクトに貢献する道を開いた。(中略)
2024年02月には、中国西北部・陝西省の秦始皇帝陵博物院が専門家をパリに派遣し、ノートルダムの保存と修復を支援した。
中国とフランスは共同で、ノートルダムや秦始皇帝陵の木製遺物や土遺跡の保存に関する科学研究を開始した。これは、ノートルダムの焼けた木材のサンプルを国際的に共同研究する初の試みとなった。
中国の博物館副館長である周平氏は、フェニックスTVの取材に対し、中国の専門家がノートルダムの尖塔に上がった最初の非フランス人の専門チームであったと語った。
2023年02月、周氏はノートルダムの修復に参加するよう任命された。修復作業の中で、彼女は大理石の清掃、焼けた木材の研究、壁画や金属、関連する工芸品の保存技術など、中国の文化遺産保存の専門知識を提供した。
周氏は、ノートルダムと秦始皇帝陵の兵馬俑の両方で木材が広く使用されており、いずれも焼けた遺物があることを指摘した。
焼けた木材や炭化した遺物を研究することで、中国とフランスのチームは耐火材料の研究を進め、文化遺産が火災に耐える時間を延ばし、救助活動を強化することを目指した。
(後略)⇒参照・引用元:『Global Times』「Notre-Dame de Paris reopens with China’s pioneering role in restoration」
フランスに「ノートルダム大聖堂」があるなら、中国には「秦の始皇帝陵」があるのだ――と誇るみたいな記事になっており、具体的に周先生が何に協力したのかよく分かりません。
さらにいえば、「ノートルダム大聖堂」は宗教施設です。
共産主義(マルクス主義)では「宗教は人民のアヘン」だったのではなかったでしょうか。外国の施設とはいえ、宗教施設の修復に協力するのは、中国共産党にとってはOKなのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)