中国は「過剰生産性」を他国に押し付けており、ドメスティックな外国企業の利益を奪っています。これは「デフレの輸出」として世界的に問題視されており、中国産のイナゴの群れを防がなければ、自国企業の業績が傾くばかりです。
2025年03月28日に発生したミャンマー地震で、タイ・バンコクで建設中の30階建て高層ビルが倒壊。中国は「デフレの輸出」だけではなく、「おから工事」も輸出してやがる――と大変注目を浴びました。
ミャンマーで発生した地震はマグニチュード7.7のでしたが、タイのバンコクはそこから1,000kmも離れており、揺れとしては震度3~4程度。バンコク市内のビルも確かに被害を受けたものの、「全壊ってあんた……」となったのは、この『中鉄10局』が建設を担当したビルだけだったからです。
ビルは5秒で崩壊しました。
↑2025年04月02日、タイ首相のペートンタン・シナワットさんが現場を視察。被害にあった人を見舞いました。
タイの『タイPBS』は以下のように報じています。
崩壊現場から採取された鉄鋼材のサンプルを調査した結果、2つのサンプルが品質基準に達していなかったことが判明した。
この鉄鋼材を納品したのは『Xinkeyuan(シンコーユアン)』というタイ現地企業だが、筆頭株主は中国人とのこと。
タイ産業省によれば、昨年末にこの企業の工場で起きた火災を調査する過程で、同社が製造するコンクリート補強用の鉄筋などが品質基準を満たしていないことが確認され、2,441トンの不良製品が押収されたのこと。
また、この企業は中国が「一帯一路」プロジェクトの一環として建設している中国〜ラオス高速鉄道の工事現場にも資材を納品している。
建物の崩壊直後、現場にいた中国人スタッフ4人がオフィスに入り、32冊の書類ファイルを持ち出したことも物議を醸している。
資材の納品記録などを持ち出そうとしたのではないかと見られており、タイ警察は彼らを拘束し、書類も押収した。
また、建物が数秒で完全に崩壊したことから、構造設計に問題があったのではないかという見方も出ている。
北京首都工程公司出身の建築技師・李新氏は、中華圏のメディアのインタビューで「タイ政府の耐震設計基準は、マグニチュード6〜7の地震に耐えられることが求められているのに、3〜4程度で崩壊するのは理解できない」と述べ、「構造設計に問題があった可能性がある」と指摘した。
(後略)
恐ろしいのは基準を満たさない建設資材を納品していた企業が関わっていたことで、さらには「中国〜ラオス高速鉄道の工事現場にも資材を納品している」とのこと。
もっとも一帯一路絡みで、中国企業がいい加減な工事をしているのは今に始まったことではありません。

Money1でも上掲の先記事でご紹介したことがありますが、例えば「中国がエクアドルから請け負い、27億ドルが投入されたコカ・コード・シンクレア水力発電所のダム」では、数千の亀裂が入り、崩壊するかもしれない――という危機に直面しました。
エクアドルは、2021年に施工業者である『中国水电建设公司(中国水利水電建設公司)』をチリ・サンティアゴ国際商事仲裁委員会に提訴し、現在も係争中。
2018年時点で約7,600カ所のひび割れという報告でしたが、2023年までに確認された亀裂だけで「1万7,499カ所」に達し、ダム沈殿物除去システムも正常に作動しないというポンコツぶりを発揮しております。
要するに、中国はお金に余裕のない小国に融資を行い、自国のポンコツ企業に仕事を請け負わせてポンコツインフラを世界各地に量産させているのです。
タイ・バンコクのビルもその一例になってしまった――というわけです。
(吉田ハンチング@dcp)