韓国「EUとの第1回次世代戦略対話を開催」⇒ 鉄鋼と自動車etc.懸念事項が山積。

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2026年04月17日、韓国の産業通商資源部が以下のプレスリリースを出しました。タイムリーに公開できませんでしたが、EUとの関係は、韓国経済にとって重要なポイントなので、遅れましたが出しておきます。

長いのですが、以下に全文和訳します。面倒くさい方は次の小見出しまで飛ばしてください。

韓-EU、サプライチェーン・経済安全保障中心の
「次世代戦略経済パートナーシップ」へと飛躍

* 第13回韓-EU FTA貿易委員会および第1回次世代戦略対話を開催
* DTA最終文案確定、自動車附属書改正、化粧品作業部会新設など実質成果を導出
* 鉄鋼・産業加速化法など通商懸案を提起し、核心鉱物・半導体など新通商議題を議論

産業通商部(長官キム・ジョングァン、以下産業部)のヨ・ハング通商交渉本部長は、04.17(金)15:00~18:00にソウルでマロシュ・シェフチョヴィチ(Maroš Šefčovič)EU通商・経済安全保障執行委員とともに、第13回韓-EU FTA貿易委員会(Trade Committee)および第1回通商・供給網・技術に関する次世代戦略対話(Strategic Dialogue on Trade, Supply Chain and Technology)を開催した。

今回の会議は、発効15年目を迎える韓-EU FTAの成果を点検するとともに、米中競争の深化、供給網再編、保護貿易主義の拡散など急変するグローバル経済安全保障環境に対応し、双方の協力を核心鉱物・先端技術・供給網を包括する「次世代戦略パートナーシップ」へと格上げするために設けられた。

1.第13回韓-EU FTA貿易委員会

:貿易拡大基盤の強化および制度的障害の解消

双方は、2011年に発効した韓-EU FTAが、物品関税撤廃を超えてサービス・投資・持続可能な発展などへと協力範囲を広げ、両国経済協力の核心プラットフォームとして位置づいたと評価した。

FTA発効以降、貿易規模は発効以前に比べ約50%以上増加し、’25年の物品貿易額は過去最大の1,368億ドルを記録し、双方の相互累積投資も2,868億ドルに達するなど、互恵的協力関係が持続していることを確認した。

□貿易・投資協力の実質的進展

❶韓-EUデジタル通商協定(DTA)最終文案確定
双方は、’25.3月に妥結したデジタル通商協定が、韓国とEUがグローバルなデジタル経済通商秩序を主導し、デジタル経済協力を強化することで双方間の堅固な通商関係を確認できる非常に重要な里程標である点を改めて確認した。

特に妥結以降、双方が国内手続きを迅速に進め、今回の会議を契機に最終文案を確定できた点を評価し、協定発効のための最終署名まで双方が緊密な疎通と協力を続けていくことにした。

❷自動車附属書改正合意
今回の貿易委員会の核心成果として、双方は自動車附属書(2-C-3)の改正に合意した。

韓-EU FTAは自動車附属書(2-C-3)に明示された品目について、国際規定遵守認証を受けた場合、国内規定認証を受けたものとみなしており、これは核心産業である自動車産業において貿易障壁を緩和し、相互交流と協力を強化することに大きく寄与してきた。

しかし自動車分野で先端技術が登場するにつれ、双方はこうした変化を反映し附属書の実効性を強化するため改正協議を進めてきた。

今回の合意により、26品目は直ちに改正手続きを推進し、11品目については追加協議を継続することにした。

これにより国際基準相互認定基盤がさらに強化され、自動車産業全般の貿易がより一層促進される見通しである。

❸相互認証協定(MRA)議論本格化
韓国は、デジタル・安全・環境など分野でEUが主導する標準と規制リーダーシップを高く評価したが、厳格な基準を遵守する過程で発生する「地域別認証」と「手続的ボトルネック」は、双方間の貿易を阻害する不要なコストである点を強調した。

これを受け双方は、地域別認証によるコストと行政負担を軽減するため、放送通信機器・医薬品・循環経済(包装材)分野を優先対象として相互認証協定協議を開始することに公式に合意した。

相互認証協定が具体化される場合、放送通信、医薬品および包装材を活用するすべての我が企業の対EU困難解消を支援することで、EU市場進出が一層拡大すると期待される。

❹K-化粧品欧州進出の橋頭堡を確保
双方は、化粧品産業が最近双方間の貿易・投資の核心分野として重要性が大きく増大していることに共感した。

特にK-化粧品の対EU輸出が急速に成長し、韓国化粧品企業が世界最高水準のODM能力を基にEUブランドの製造・革新に寄与している状況を踏まえ、双方は化粧品分野の懸案事項解消と貿易・投資促進のための専担疎通チャネルとして化粧品作業部会を新設することにした。

化粧品作業部会は、産業部とEU通商総局(DG TRADE)の担当課長を首席代表として関連部処がともに参加する形で運営され、情報共有、懸案事項および協力事業などが包括的に議論される予定である。双方は今年下半期の第1回会議開催を目標に実務協議を推進することにした。

□主要通商懸案の議論

①産業加速化法(IAA)
韓国側は、今後EU産業政策の基盤となると見込まれる産業加速化法(IAA, Industrial Accelerator Act)発表本(3.4)において、FTA締結国原産製品をEU産と同等に扱うこととした決定を肯定的に評価した。

ただし依然として一部規定に不明確な部分が存在し、韓国政府および産業界の懸念が完全には解消されていないため、韓国側の疑問と懸念が解消され、産業加速化法が双方の協力関係をさらに強化する方向で導入されるようEU側の関心と支援を要請した。

②新規鉄鋼法案(TRQ措置導入)
韓国側は、EUが検討中の鉄鋼TRQ措置が我が鉄鋼業界のEU鉄鋼市場アクセスに重大な制約となり得ることを強調し、深い懸念を表明した。

同措置は韓-EU FTAおよびWTO規範に整合する方式で設計され、わが企業の市場アクセスを過度に制限しないよう慎重な検討が必要であると述べ、今後の交渉を通じて相互互恵的な解決方案を導出できるよう双方間の緊密な協議を要請した。

③地理的表示(GI)
わが側はEU側に対し、地理的表示名称の使用に関連して、原産地の明確な表示と誤認可能性の遮断などを反映する解釈指針の策定を提案した。

④炭素国境調整制度(CBAM)
今年1月に本格施行されたCBAMに関し、最近の制度簡素化措置は肯定的に評価した。ただし第三国既払い炭素価格に関する規定など核心下位法令が依然として未公開である点を指摘し、迅速な立法を要請した。

併せて排出権取引制度(K-ETS)を運営している韓国に対する二重規制防止と、我が検証機関に対するEU認定機関の積極的な協力も促した。

2.第1回韓-EU次世代戦略対話
:経済安全保障および通商・供給網・技術協力の新たなパラダイム構築

貿易委員会に続いて開催された第1回次世代戦略対話は、昨年12月の呂翰九(ヨ・ハング)本部長のブリュッセル訪問を契機として双方が合意し新設した閣僚級戦略協議体である。

今回の会議では、経済と安全保障が結合する「経済-安全保障ネクサス」時代に対応した実質的協力案を中心に議論が行われた。

❶核心鉱物・半導体協力
双方は、韓国とEUいずれも核心鉱物の生産基盤が限定的で供給網依存度が高く構造的に脆弱であるという共通課題に直面している点に共感した。

これに伴い双方は核心鉱物分野で実質的協力案を具体化し、グローバルイニシアティブ対応のため戦略的疎通の幅を広げることにした。

また半導体供給網安定化のための協力必要性にも共感し、先端産業競争力確保のためAI・先端半導体・核心素材分野で同様立場国間の持続的協力を推進することにした。

❷バッテリー協力
わが側は、バッテリーが単なる部品を超えエネルギー転換とAI拡散を牽引する未来産業の核心エンジンであることに言及し、韓国のバッテリーセル・素材企業がEU内大規模工場投資を通じてEUの先端バッテリー生産能力強化および供給網構築、現地雇用創出に寄与しており、韓-EU間の相生協力の象徴となっている点を強調した。

このような側面から、バッテリーはエネルギー安全保障とも直結する核心戦略物資であるため、EU内ESS設置プロジェクトにおいて信頼できる韓国企業の役割拡大を要請し、最近EUで検討中の産業加速化法に関連しても韓国バッテリー企業の寄与度を十分に考慮するよう要請した。

❸(仮称)次世代戦略経済パートナーシップ(Strategic Economic Partnership)提案

わが側は、単なる貿易協議を超え経済安全保障全般を包括する「(仮称)韓-EU次世代戦略経済パートナーシップ(Strategic Economic Partnership)」の議論を公式に提案した。同イニシアティブは単一部処を超え双方の多様な部処関係者が参加する韓-EU協力フレームワークとして意味を持つ。

双方は緊密な協力意思を内外に示し強力な履行動力を確保できるよう、今後の主要契機を通じて同イニシアティブを発足させることで合意し、そのための議論を続けることにした。

呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長は「今回の会議を契機に韓-EU協力が従来の貿易・通商を超え、経済安全保障・供給網・先端技術分野など次世代戦略パートナーへと拡張される重要な転換点を設けた」と評価した。

併せて「今後も高位級および実務協議チャネルを積極的に活用し、わが企業のEU市場における予測可能性を高め、自由で公正な通商環境造成のため緊密に協力していく」と明らかにした。

⇒参照・引用元:『韓国 産業通商資源部』公式サイト「한-EU, 공급망‧경제안보 중심의 ‘차세대전략경제파트너십’으로 도약」

韓国は多国間の貿易協定ではなく、二国間の自由貿易協定を推進してきましたが、アメリカ合衆国の豹変によって、これまで甘い汁を吸ってきた自由貿易の果実がもらえなくなることを恐れています。

合衆国は米韓FTAをガン無視し、『WTO』(World Trade Organizationの略:世界貿易機関)体制も「もう、おしまい」と宣言しました。

このトレンドが進行してEU市場が絞られるようなことがあれば、韓国の輸出が減少し、国が傾きます。

そのため、韓国政府はEUとの「次世代戦略経済パートナーシップ」などといいだしているのです。

品目についての言及は個別にありますが、露骨に警戒しているのは「鉄鋼」についてです。鉄鋼TRQ(Tariff Rate Quotaの略:関税割当)については「重大な制約」「深い懸念」を表明しており、かなりストレートな物言いです。

EUのTRQが事実上の数量規制になるので、韓国側の本音としては「FTAで関税はゼロでも、TRQで数量を縛られるとマズい、FTAがあっても結局ブロックされるのではないか」と恐れているわけです。

これはその恐れどおりになるでしょう。

(吉田ハンチング@dcp)

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