メイ首相の保守党が08日に行われた総選挙で下院過半数を押さえそこなったため、ポンドのこれからに不透明感が増しています。FXをやっている人はご存じでしょうが、英ポンドは、EUからの離脱を決めた2016年6月と比較すると、ズンズン下がってな約2割安にもなっています。
06月13日以降買い戻しが入ってやや持ち直していますが、06月09日に総選挙の結果を受けてズドンと落ち、その下落前の水準にまでは回復していません。
「ここらで底打ちで、買い時じゃないか?」なんて指摘する識者もあったのですが、今回の総選挙の結果で、EUからの離脱をハードに行うことが不可能になり、よりソフトな交渉を行わざるを得なくなった見られ、それによってイギリスの経済状態への懸念が深まっています。
政府と日銀がフンガーと言っても全然インフレにならない日本と比べて、実はイギリスではインフレが進行中。イギリスの消費者物価指数(CPI)は対前年比で約2.9%上昇しています。ちなみにイギリス中央銀行(イングランド銀行:Bank of England)のインフレ目標が「2%」。目標よりもインフレが進行し過ぎというわけです。
イギリスのGDPの第1四半期の結果では減速傾向が顕著となっていますが、これはインフレが進行しているのに、賃金が伸び悩んでいるためと推測されています。
成長の鈍化がこの先どうなるのかは、やはりもう少し見てみないと分かりませんが、メイ首相の政権の舵取りによって大きな影響を受けるのは確かです。06月19日から開始されるEU離脱交渉に注目が集まっています。
(柏ケミカル@dcp)