輸出産業国・韓国を支える『サムスン電子』の主力製品の一つがスマートフォン。
米市場調査会社『IDC』が発表したデータによると、2020年の第1四半期のスマートフォンの世界シェアはサムスンが21.1%でトップです。では、アメリカや中国、日本といった各国(と地域)でのシェアはどうなっているのでしょうか?
厳しい状況の中国と右肩下がりのインド市場
まずは中国シェアですが、こちらは壊滅的な数字になっています。調査会社『Canalys』によると、2020年第1四半期の中国メーカーのシェアはHuaweiがトップで41.4%。OPPOが17.2%と続いています。肝心のサムスンはトップ5にも入っていません。
2019年に発表された『ストラテジー・アナリティクス』の報告書では、2013年はサムスンの中国シェアは20%近い数字でトップだったものの、年々低下。2016年に4.9%になり、2017年には2.1%。2018年に1%を切り、2019年には0.7%まで下がったとのこと。
統計サイト『StatCounter』でも調べてみましたが上掲グラフ/『StatCounter』より引用:以下同)、こちらでは2020年5月のシェアは2.44%ですが、いずれにしても低い数字です。2019年10月には中国での生産拠点を閉鎖しているため、シェア回復は難しいでしょう。
近年スマホ市場が拡大しているインドでは、2017年第2四半期は25%、2018年第2四半期は30%までシェアを伸ばしました。
しかし、2018年に中国のシャオミが急激に勢力を伸ばしたためサムスンのシェアは激減。2019年には24.4%、2020年になると18.9%までインド市場でのシェアは下がり、急成長を続ける中国のVIVO(19.8%)にも抜かれてしまいました。
「StatCounter」の統計データでも、インドでのサムスンのシェアが右肩下がりなのが分かります。
アメリカや欧州市場では好調
次にアメリカ市場ですが、こちらは中国とは対照的となっています。
『Canalys』が2019年に発表した「2019年第1四半期」のデータでは29.3%のシェアとなっており、これはAppleの次に多い数字です。前年の同期は23.2%だったので1年でおよそ6%も上昇していることになります。
『StatCounter』で過去4年間の「北米のモバイルベンダー市場シェア」を調べてみました(上掲グラフ)。2018年に20%近くまで減少したもののものの、過去4年間は26%前後のシェアで推移しています。アメリカではまだまだ安泰のようです。
アメリカと同じく好調なのがヨーロッパ市場。
『Canalys』のデータによると、2017年第4四半期は28.3%、2018年第4四半期は28.7%、2019年第3四半期には35.7%と大きく成長を続けています。
『StatCounter』のデータを見ると(上掲グラフ)、ヨーロッパでは30%以上の高い数字で推移しています。
日本では『サムスン電子』は存在感を増している
どこもかしこもiPhoneだらけの日本はどうなのでしょうか?
『Canalys』の調査データによると2018年第4四半期は6.8%でしたが、2019年第4四半期は8.0%と伸びています。
『StatCounter』によればここ4年間は6%前後で推移(上掲グラフ)。『サムスン』は日本市場でのシェア拡大を狙っていますが、Appleとの差を埋めるのは難しいかもしれません。
というわけで、サムスンのスマホシェアは、アメリカやヨーロッパでは好調のようですが、これまで大きなマーケットだった中国は壊滅的、インドは苦境に立たされています。
どちらも中国メーカーの躍進が苦戦の要因ですが、(アメリカ以外の)他の好調な地域で中国メーカーが台頭すれば、同じように苦しい状況になるかもしれません。
(中田ボンベ@dcp)
⇒『レコードチャイナ』「サムスン、中国スマホ市場シェアまた0%台に」
⇒『Canalys』「Smartphone shipments in China reach 73 million in Q1 2020, down 18% year on year」
⇒『Canalys』「India smartphone market Q4 2019 and full year 2019」
⇒『Canalys』「Canalys: European smartphone market grew 8%, best performing region in Q3 2019」
⇒『Canalys』「Japan smartphone market 2020 forecast」
https://www.canalys.com/newsroom/japans-smartphone-market-2020-covid-19