2021年01月28日、事実上破綻している韓国『双竜自動車』社長はサプライヤー緊急対策委員との会合を持ち、債権団の管理下で構造調整を行い、企業再建を目指す計画を明らかにしたとのこと。
韓国メディア『亜州経済(韓国版)』の記事から社長の発言を引用します。
社長は「残念だが『マヒンドラ&マヒンドラ』が頑なで交渉が決裂し、Pプランに突入することになった」とし「29日からPプランで行く計画であり、『HAAHオートモーティブ・ホールディングス』と現在契約について交渉している」と話した、と伝えられた。
(後略)
どんな条件でオーナーのインド企業『マヒンドラ&マヒンドラ』が頑なになったのかは分かりませんが、『双竜自動車』『マヒンドラ&マヒンドラ』『HAAHオートモーティブ・ホールディングス』の交渉が決裂したのは確かなようです。
これで、『マヒンドラ&マヒンドラ』が株式保有比率を30%以下に下げるまで株式を売却。『HAAHオートモーティブ・ホールディングス』が『双竜自動車』のオーナーになるというプランは、一応白紙になったわけです。
ですので、昨日の『産業銀行』が「聞いていない」というのはただ単に聞いていなかっただけでした。
社長の発言にある「Pプラン」というのは、簡単にいえば「債務を減額してもらい、『産業銀行』などの債権団に新たに資金を投入してもらって再生を目指す」というものです。
「虫が良すぎるのでは?」と思った方は、「はい。そのとおり」です。
まず、債権者が債務の減額に応じるかどうか不明です。また、『産業銀行』は、『大韓航空』と『アシアナ航空』の合併問題でも分かるとおり、誰か責任を持つ者がちゃんといて、お金を振り込んでなんとかなる見込みがあれば資金を入れることはやぶさかではない――という姿勢です。
『大韓航空』『アシアナ航空』の場合には、『韓進KAL』というオーナー企業が逃げないでいるから8,000億ウォン出してなんとかなるスキームを考えて旗を振ったわけです。
『産業銀行』が先に『マヒンドラ&マヒンドラ』に無理難題を言って交渉したのは「逃げないでもらうため」でした。
15四半期連続赤字のことからも分かるとおり『双竜自動車』の経営陣は無能という他ありません。『マヒンドラ&マヒンドラ』も逃げ出しているわけで、責任を取るのは引き続き無能な経営陣です。
果たして『産業銀行』はお金を新たに提供するでしょうか?
さらに、社長が『HAAHオートモーティブ・ホールディングス』と交渉するという「契約」の中身も不明です。『マヒンドラ&マヒンドラ』は『HAAHオートモーティブ・ホールディングス』にまだ株式を売却していないので、同社は完全に部外者です。
部外者になんの交渉をしようというのでしょうか。
――といわけで、売却交渉はあえなく撃沈だった模様。とりあえず光は見えません。
(吉田ハンチング@dcp)