例の韓国の月城原子力発電所で高濃度の放射性冷却水が外部に流出した件です。
2021年09月10日、韓国の『原子力安全委員会』は、「月城原発(敷地内)三重水素の第1次調査の経過と今後の計画公開」という文書を公開しました。
三重水素(トリチウム)が原発敷地外に漏れ出ていたのではないかという疑惑に対しての調査結果で、回答はやはり「漏れていました」でした(以下がプレスリリース)。
これは、まだ第1次報告書で途中経過ですが、先にご紹介した韓国報道がほぼ正しかったことを追認するものとなっています。
例えば、1997年に補修工事で不備があり、使用済核燃料プール(正確にはSpent Fuel Bay:SFBと略します「使用済み核燃料貯蔵槽」)から冷却水が漏れ出していたことが裏付けられました。以下をご覧ください。資料に添付された図です。
↑左が補修工事前。右が補修工事の際の不手際です。AとBの部分で水漏れを防ぐための遮水膜の損傷があって、これが放置されていたため、地下に高濃度のトリチウムを含んだ冷却水が漏れたのです。※データ引用元は同上
1997年から放置されていたとすると、24年は漏れっぱなしになっていたことになります。
今回の調査では、地下9mから採取した土壌・水サンプルを検査した結果土壌サンプルからはガンマ核種0.37ベクレル/gが検出。水サンプルからはトリチウムが最大75万6,000ベクレル/リットル、ガンマ核種最大0.14ベクレル/gが検出されました。
以下に『認定特定非営利活動法人 FoE Japan』から放出基準を引きます。
排出濃度の基準として6万ベクレル/リットルが設けられています。
年間の排出目標値は原子力施設ごとに定められており、原発事故前の福島第一原発の場合、年間22兆ベクレルです。原発事故後、この目標値は使われていませんが、仮にこの目標値を守るとすると、860兆ベクレルのトリチウムを放出するためには数十年かかることになります。
サブドレン、地下水バイパスからの水を放出する際、東京電力は、敷地周辺の被ばく線量の法的限度(1ミリシーベルト/年)から、トリチウムの放出限度を1,500ベクレル/リットルとしています。
(後略)⇒参照・引用元:『認定特定非営利活動法人 FoE Japan』「東電福島第一原発で増え続ける、放射能を含んだ『処理水』Q&A」
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
『東京電力』の「1,500ベクレル/リットル」ではなく、「6万ベクレル/リットル」を基準としても「最大75万6,000ベクレル/リットル」は「12.6倍」もあります。
韓国政府の原発管理は杜撰(ずさん)のひと言に尽きます。
日本は、斜め上の国にこのような杜撰な管理の原発があることを忘れてはならないでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)