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イタリア「ウチは抜けます。中国はイタリアに何かしますか?」

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2023年12月07日、中国外交部の定例記者ブリーフィングで興味深いQ&Aが2つありましたのでご紹介します。

まずイタリアが、中国習近平総書記の肝いり企画「一帯一路から撤退」を正式に表明した件についてです。以下をご覧ください。

『ANSA通信』記者:
イタリアは中国に対し、2019年に参加した「一帯一路」構想からの離脱を正式に通告した。

これに対する中国のコメントは? 中国側から見て、この決定は何を意味するのか中国とイタリアの関係にとってどのような意味があるのか?



汪文斌:

「一帯一路」イニシアティブが提唱されて以来10年、その成果は150カ国以上に恩恵をもたらし、世界で最も人気のある国際公共財、最大の国際協力プラットフォームとなった。

今年10月、第3回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムが北京で成功裏に開催され、イタリアを含む151カ国と41の国際機関の代表がフォーラムに参加し、458の成果を挙げ、連帯と協力、開放とWin-Winの明確なシグナルを放ち、「一帯一路」イニシアティブの大きな魅力を体現した。

一帯一路」は大きな魅力と世界的影響力を持っている。 中国は「一帯一路」建設についての中傷や協力の破壊陣営間の対立や分裂の創出断固として反対する。

⇒参照・引用元:『中国 外交部』公式サイト「2023年12月7日外交部发言人汪文斌主持例行记者会」

『ANSA通信』はイタリアメディアです。ですので、イタリアメディアがストレートに「ウチは抜けますけど、中国さんの感想はいかがですか?」「イタリアに何かするつもりですか?」とド直球を投げたわけです。

まず、この点が傑作です。質問者として指名されていますので、中国外交部側も直接面罵してやろうと思っていたことが伺えます。

汪文斌さんの言葉から、中国はイタリアの足抜けを「『一帯一路』建設についての中傷や協力の破壊」「陣営間の対立や分裂の創出」と考えていることが分かります。傑作です。

2023年12月07日、欧州委員会のウルスラ・ファン・デル・ライエン委員長が訪中。習近平総書記と会談を行いました。これについてまた、『ニューヨーク・タイムズ』がひじをつねるような、細かい嫌がらせの質問をしています。以下をご覧ください。

『New York Times』記者:
今年に入ってから、欧州は中国に関連する安全保障問題について、ますます懸念を強く表明しています。

中国は、安全保障とウクライナの問題について、欧州側が自国の利益のために判断するのではなく、アメリカ合衆国の見解に従っていると考えているのか?

汪文斌:
中国は、中国とEUの関係を常に戦略的かつ長期的な視点から見てきた。

われわれは欧州を包括的な戦略的パートナーであり、多極化する世界における重要な一極とみなしており、欧州側が戦略的自主権を堅持し、中国と共に真の多国間主義を実践し、手を携えて世界平和の維持、共同発展の促進、グローバルな課題の解決に取り組むことを支持している。

⇒参照・引用元:『中国 外交部』公式サイト「2023年12月7日外交部发言人汪文斌主持例行记者会」

これはいい質問です。中国は欧州の動きについて「合衆国の覇権的な動きに扇動されるべきではない」といい続けてきました。中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』でも、欧州は合衆国の扇動に惑わされずに真の多国間関係を……などという記事を出し続けています。

その言説を突いたのです。「欧州は欧州で独自にあんたの国に懸念を示しているんだぜ。本気で合衆国に同調しているだけだと思っているのか?」というわけです。

この質問に対して、汪文斌さんはまともに答えていません。「欧州は独自に中国に対して安全保障上の懸念を表明している」と肯定すれば、合衆国と欧州という2大パワーから「胡乱うろんなやつ」と見られていると自ら認めることになります。

否定すれば「欧州は合衆国に引きずられて中国に懸念を表明しているだけ」と外交部が公式に認めたことになります。この場合は、欧州の動きを真っ向から「米国の腰巾着」と決めつけたことになり、欧州との関係は悪化します。

合衆国との対立が深まるばかりの中国としては、欧州だけでもつなぎとめないとなりません。そのため、汪文斌さんは「中国とEUは戦略的パートナーで……」などとモゴモゴ言って逃げたのです。

中国は「イデオロギーの対決ではない」と逃げていますが、違います。これは「自由民主主義・自由経済 vs 一党独裁・習近平の特徴ある社会主義経済」という、まごうことなきイデオロギーの戦いなのです。

新冷戦に他ならず、「自由民主主義・自由経済」側が「習近平の特徴ある社会主義経済」に妥協できない上は正面対決に至るしかないのです。

行き着く先は「北京の55日」です。

世界は、中国をタコ殴りにして瓦解させるところからやり直さないといけなくなったのです。清のときのように。

(吉田ハンチング@dcp)

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