2023年12月07日、中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』が興味深い記事を出しました。
「China issues plan to promote further opening-up of Shanghai FTZ, to pave way for entry to CPTPP
Move paves way for entry to CPTPP, a strong objection to decoupling push:」
(中国、CPTPP参加への道を開くため、上海FTZのさらなる開放促進計画を発表 CPTPP参加への道を開く動き、デカップリング推進に強い異論)
というタイトルで、「中国をCPTPPに入れろ」と主張をしています。
中国共産党は経済が傾いているので必死です。また面子の問題もあります。
先にご紹介したとおり、イギリスがCPTPPに加わることになった後、中国は「イギリスの次に加盟に手を上げたのは中国であり、中国の加盟を議論すべきだ」と主張しました。
中国の次に手を上げたのは台湾ですから、中国がスキップされて台湾の加盟について先に議論が行われると、それだけで中国の面子は丸つぶれになるのです。
記事から一部を以下に引用してみます。
中国国務院(内閣)は木曜日(2023年12月07日:引用者注)、中国(上海)自由貿易試験区(FTZ)を高水準の国際経済貿易ルールに合わせることで、ハイレベルの制度開放を促進する包括的な計画を発表した。
この計画は、中国の指導者(習近平:引用者注)が上海を視察した後、中国の改革開放の道のりの節目となるときに発表された。
この計画には、国境を越えたデータ通信、金融開放、人工知能(AI)に関する国際協力など80の施策が盛り込まれており、開放を推進し、グローバルな金融システムに統合し続けるという中国の揺るぎないコミットメントが強調されている。
また、この動きは、特定の国のデカップリング推進に対する強い反論となり、中国経済悲観論者に対する新たな反論となるだろうと指摘した。
アナリストによると、労働基準、知的財産保護、国有企業改革に関わる多くの政策も、包括的先進的環太平洋パートナーシップ(CPTPP)で認められている基準に合致しているという。
(後略)⇒参照・引用元:『Global Times』「China issues plan to promote further opening-up of Shanghai FTZ」
読者の皆さまもすでにご存知かと思われますが、習近平総書記は07日に上海を訪問し、「世界基準に合わせた開放施策を行うべし」と一席ぶちました。
これは自由主義陣営国が中国から資金を抜いており、投資先として中国を忌避していることが背景にあります。
もう何度だっていいますが、これは中国の「泣き」です。簡単にいえば「出ていかないでください」であり、「技術とお金を中国によこせ」です。
上掲の最後の文、「アナリストによると、労働基準、知的財産保護、国有企業改革に関わる多くの政策も、包括的先進的環太平洋パートナーシップ(CPTPP)で認められている基準に合致しているという」は、傑作という他ありません。
なにが「……という」でしょうか。
「上海FTZではこうしますよ」という話であって、まだ中国は何も実行していません。相変わらず、他国の企業人を恣意的に拘禁し続けています。何が開放でしょうか。
『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)に加入するとき、『WTO』(World Trade Organizationの略:世界貿易機関)に加盟するときに行った約束を中国は何一つ実行していません。
一例に過ぎませんが、いまだに資金の自由な移動も達成していませんし、国有企業を減らすことも行っておりません。国有企業はむしろ増えているという惨状です。
このような「国際機関に入る際の約束を全てホゴにしてきた国」など信用できるわけがありません。
中国はしおらしい顔をして国際機関に入り込み、以降は約束など一切守らない国です。しかも加盟してから中で騒動を起こすのです。
中国がウソばかり言い、約束を守らない国であることは、自由主義陣営国なら十分に分かっているはずです。
増税メガネ・岸田文雄ぐらい脇が甘ければ何度でも騙されるかもしれませんが、CPTPP加盟の他の国々が増税メガネのようにボンクラとは考えられません。
中国はCPTPP加盟についても同じように騙せると考えているのです。舐められたものです。
中国のポーズなど一切信用してはなりません。中国の面子など丸つぶれにして、台湾の加盟議論を進めるべきです。
(吉田ハンチング@dcp)