中国でも合計特殊出生率が低下、人口が自然減少するフェイズに入りました。
2035年までに60歳以上の高齢者が4億人を突破し、総人口の30%を超え、超高齢化社会へ突入すると予想されています。
中国の国家統計局のデータによると、中国の高齢化状況は以下のようになっています。
60歳以上の人口(全人口に占める割合)
2019年:2億5,388万人(18.1%)
2020年:2億6,402万人(18.7%)
2021年:2億6,736万人(18.9%)
2022年:2億8,004万人(19.8%)
2023年:2億9,697万人(21.1%)
データ出典:『中国 国家統計局』
高齢化が進んでいるので仕方がないのかもしれませんが、「中国人は入院しすぎだろ」というデータが出ています。
1年に全人口の21.4%が入院する! 3億人だ!
アメリカ合衆国のシンクタンク『外交問題評議会』(CFR:Council on Foreign Relationsの略)は以下のように書いています。
2023年、中国の医療制度において注目すべき現象が見られました。
それは、3億100万人分の入院が発生し、国全体の人口の21.4%に相当するという驚異的な数値です。
これは、100人の中国人に対して21回以上の入院が行われたことを意味し、世界の平均を大きく上回り、中国の医療制度の持続可能性について重大な疑問を投げかけています。
この増加は、過去のデータと比較するとさらに際立ちます。
2003年には、100人中わずか4.7人が入院を必要としていましたが、現在の退職者における入院率は特に深刻で、50%に達しています。
つまり、退職者の2人に1人が毎年入院する計算になります。
このような前例のない入院数は、中国の医療制度に莫大な負担をもたらしています。
2023年には入院1回あたりの平均費用が1万元強にやや減少したものの、入院件数の多さにより総医療費は増加を続けています。中国の研究者によれば、『OECD』の平均である14%を7ポイント上回る入院率を維持するためには、医療費をさらに6~7%増やす必要があると推定されています。
これは経済が減速する中で、特に借金を抱えた地方政府にとって大きな負担となっています。
(後略)⇒参照・引用元:『CFR』公式サイト「China’s Hospital Admission Paradox: Institutional Design and Perverse Incentives」
上掲の「%」は、入院の発生件数 ÷ 人口 で計算したもの。全人口当たり何件の発生率です。
「入院率」といってもいいですが、例えば『OECD』では入院率(hospitalization rate または hospital admission rate)というのは人口あたり◯◯人の入院が発生する――とします。
日本の場合には1,000人当たり150人なので、率だけにすると15%ですから、上掲の「『OECD』の平均である14%」よりは高いですが、これは超高齢社会に突入していることが影響しているものと思われます。
しかし、中国はいまだ超高齢社会に突入していない段階で、すでに21.4%もあるのは『RCF』の指摘どおり「異常」です。
さらに医療支援を行わないと、(今でも危ないというのに)まともに医療を受けられない人が増加するでしょう(※中国政府にはお金がないのです)。
中国の医療制度は持続可能なのか?――が問われます。
(吉田ハンチング@dcp)